9月8日に内閣府から公表された2025年4～6月期の実質GDP成長率（2次速報値）は前期比＋0.5%（年率換算＋2.2%）と、1次速報値の同＋0.3%（同＋1.0%）から上方修正された。もっとも、個人消費の伸び率が高まった（前期比＋0.2%→＋0.4%）のは1～3月期の水準が下方修正された効果が大きかったこと、在庫投資の上方修正によって全体が押し上げられたなど、これまでの評価を変えるほどの強い内容ではない。景気は緩やかに持ち直しているものの、その勢いは弱い。

2025年7～9月期はマイナス成長に陥る可能性が高い。トランプ関税の影響により財を中心に輸出が大きく落ち込むうえ、設備投資は底堅さを維持するものの、個人消費の回復ペースが鈍いほか、住宅投資の急減が見込まれるなど内需も力強さに欠く状態が続く。

ただし、トランプ関税による輸出減少の影響は年内にもおおむね一巡し、景気へのマイナス効果は薄らぐ見込みである。関税引き上げのマイナス効果は決して軽微ではないが、自動車を含めた相互関税が15%で決着したことで輸出は徐々に下げ止まり、輸出企業の業績への打撃は限定的となるだろう。このため、年度後半の景気は内需の動きに左右されることになる。

内需については、春闘の高い賃上げ率やボーナス支給額の増加など家計を取り巻く所得環境の良好な状態が維持される中、年度末にかけて物価上昇率が徐々に鈍化することに合わせて消費者マインドの冷え込みが和らぎ、個人消費は増加基調を維持しよう。給付金支給などの政策効果も一時的に個人消費を下支えしよう。また、企業の設備投資意欲の底堅さは維持され、設備投資による景気下支えが期待される。輸出悪化の内需への波及は軽微であり、景気底割れは回避できると見込む。

2025年度の実質GDP成長率は前年比＋0.7%を予想する。内需寄与度は＋0.9%と底堅く推移するが、外需寄与度は－0.2%となり、全体の足を引っ張る。四半期の動きでは、7～9月期に前期比マイナスとなった後、年度後半にはプラス成長に転じる。その後も、物価が安定し、世界経済が持ち直す中でプラス基調は維持され、実質GDP成長率は2026年度に前年比＋0.9%に、2027年度に同＋0.8%に高まろう。

ただし、景気の下振れリスクは残る。まず、トランプ米大統領の政策による影響は引き続き不確定要素である。関税交渉が合意していない中国、カナダ、メキシコなどとも主要各国並みの条件で合意し、世界経済の悪化は回避されると想定しているが、交渉がこじれることで米国さらには世界経済が悪化する可能性がある。また、物価高による個人消費の低迷、人手不足による供給制約なども引き続き懸念材料である。

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※（2025年9月16日訂正）レポート中の表タイトルについて、以下の通り誤りがありました。訂正してお詫び申し上げます。

p.23～24 最右列
正：2027年度（予測）
誤：2026年度（予測）

2025／2026年度短期経済見通し（2025年11月）～下振れリスクは残るものの、景気は緩やかな持ち直しを続ける～

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