大企業の業況判断DIは、製造業、非製造業とも悪化
10月1日に発表された日銀短観(2018年9月調査)における大企業製造業の業況判断DI(最近)は、前回調査(6月調査)から2ポイント悪化の19と3四半期連続で悪化した。
業種別にみると、素材業種は6ポイント悪化の14、加工業種は横ばいの22だった。素材業種では、国際商品市況の上昇で原材料コストが増加し業績を圧迫しているとみられる「石油・石炭製品」、「鉄鋼」、「非鉄金属」など多くの業種で悪化した。一方、加工業種では、輸出が鈍っている「生産用機械」で悪化したが、「電気機械」、「自動車」などでは円安効果もあって小幅ながら改善した。なお、酷暑などの天候不順や、豪雨、台風などの災害の発生は企業の生産活動を一時的に停滞させるなどのマイナス要因となったが、米中通商摩擦については、関税引き上げから間もないため、足元の企業業績への影響は軽微であったと考えられる。
大企業非製造業でも前回調査から2ポイント悪化し、22に低下した。猛暑効果で「小売業」が、需要の底堅さを反映して「建設」、「情報サービス」などで改善したが、人件費などコスト増加が業績の下押し圧力となっている「対個人サービス」、「運輸・郵便」で悪化したほか、天候不順や災害の影響によってレジャー需要、インバウンド需要が減退した「宿泊・飲食サービス」で悪化した。
先行きについては、大企業製造業、大企業非製造業とも横ばいの19となった。製造業では、米中貿易摩擦の業績への影響が懸念される一方で、円安の進行が業績を改善させると期待される。非製造業では、人手不足への懸念が強まっているものの、天候不順や災害の悪影響が剥げ落ちることが業績改善の期待感につながっていると考えられる。
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