大企業の業況判断は改善が続くが、製造業・非製造業間で格差
本日発表された日銀短観(2021年3月調査)における大企業の業況判断DI(最近)は、新型コロナウイルスの影響が最も大きかった2020年6月調査を底に改善の動きが続いている。もっとも製造業では回復ペースが速く、コロナ前・消費増税前の19年9月調査の水準を回復したのに対し、非製造業では持ち直しペースが緩慢で、未だに「悪い」超が続くなど、特定の業種に悪影響が偏る感染症ショックの特徴が明確に表れる結果となった。
大企業製造業は、前回調査(2020年12月調査)から15ポイント改善の5と、大きく改善した。幅広い業種で改善したが、特に市況の回復が業績改善を後押しする石油・石炭製品、非鉄金属や、海外経済の回復と為替の円安傾向を背景に生産用機械、自動車、電気機械といった出荷に占める輸出の比率が高い業種での改善が顕著だった。
大企業非製造業は、前回調査から4ポイント改善の-1と改善は小幅にとどまった。昨年末から続く感染再拡大とそれに伴う首都圏中心の緊急事態宣言再発出により、コロナ禍の影響を受けやすい娯楽業、旅行業を含む対個人サービスや宿泊・飲食サービスといった対面型サービス業で大幅に悪化した。一方、その他の業種では、最悪期からの回復の動きは続いており、その結果、大企業非製造業全体では改善した。
先行きは製造業で4と1ポイントの悪化を、非製造業では-1と横ばいを見込んでいる。足元で緊急事態宣言が解除されたものの、いつ、どの程度の規模で感染再拡大が生じるかわからないという先行き不透明感が、「薄く広く」業況を悪化させている。
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