近年、企業の景況感と景気動向指数の乖離が広がっている。日銀短観の業況判断DIは改善を続けている一方、景気全般の動きを示す景気動向指数は横ばい圏での推移にとどまっている。企業の景況感と景気動向指数の乖離は関西に限った話ではなく、景気動向指数の作り方が全国と関西では異なるものの、関西は乖離の程度が顕著となっている。

乖離が拡がった原因のひとつとして考えられるのは、景気動向指数が製造業の動きの影響を受けやすいという点だ。大阪府作成の近畿地区景気動向指数（CI一致指数）の採用系列は、鉱工業生産指数、鉱工業出荷指数を含み、採用6系列の中で相応のウエイトを占める。近年の中国の景気減速の影響もあって、関西の生産は弱含みで推移しており、CI一致指数はその影響で下押し圧力を受けている。一方で、改善がみられるサービス業、都市再開発等で勢いがみられる不動産・建設業などの動きはCI一致指数にダイレクトには反映されない。インバウンドや万博のプラス効果は、十分に取り込めていないと考えられる。また、近年の円安などによる企業収益の改善が、企業の景況感を押し上げていることも乖離の一因ではあろう。

日本経済全体でみても景気動向指数と景気の実態との乖離は問題として認識されており、内閣府は「景気を把握する新しい指数」を参考系列として公表しているが、あくまで参考系列であり、景気を判断する際の主たる指標は、現状は景気動向指数ということとなっている。関西の景気をみる上でも、現状では、景気動向指数、生産、輸出などの動きを中心に判断していくこととなろうが、「景気の実態は景気動向指数が示すほどは悪くないが、業況判断DIが示す企業景況感ほど良くもない」と、幅をもってみておく必要があるだろう。

図表　景気動向指数と短観でみる関西の景気

今月のグラフ（2025年11月）乖離が広がる関西の景気動向指数と企業景況感

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