経営戦略

米中間の経済制裁に日本企業はどう備えるのか

2023/04/07 大原 潤、小出 真理子
経営戦略
金融

はじめに

これまで、経済制裁というと北朝鮮やイラン等、企業の事業活動が限られる国へ課すものが主で、多くの日本企業にとっては企業活動に甚大な影響を及ぼすことは少なかった。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻では、西側諸国が足並みを揃えて経済制裁を発動し、エネルギーの輸入制限に伴う企業活動への影響や、販売先としてのロシア市場の喪失を経験した企業もあった。

日本企業にとっては、今後、投資金額の多い中国に対する経済制裁の影響は大きくなると予測される。最近、米中対立の深まりとともに、米国から中国への先端半導体の輸出制限等、貿易規制が強化されている。日本も米国から先端半導体製造装置の中国への販売を自粛するよう呼びかけられる等、企業活動にも影響が起きうることが懸念されている。さらに、現時点で可能性は低いとみられているが、中国が台湾への軍事侵攻に踏み切った場合に、ロシアのウクライナ侵攻時に見られたような経済・金融制裁を西側諸国が実施すると、究極的には中国における事業活動の停止まで進む可能性はあり、企業活動へ甚大な影響を与えうる。

今回は、日本企業に影響の大きい、中国をめぐる経済制裁について、既に米中対立の文脈の中で発生している経済対立の様相を概観したうえで、台湾有事におけるシナリオと起こりうる中国への経済・金融制裁を予想する。後段では、日本企業サプライチェーン・事業活動への影響と、企業がどう備えるべきかについて触れていく。

続きは全文紹介をご覧ください。

(一般財団法人外国為替貿易研究会「国際金融」2023年3月号より転載)

執筆者

  • 大原 潤

    大原 潤
  • 小出 真理子

    小出 真理子
facebook twitter In LINE hatena mail

お問い合わせはこちら

テーマ・タグから見つける

テーマを選択いただくと、該当するタグが表示され、レポート・コラムを絞り込むことができます。