1. 中小企業の知的財産戦略の強化に向けて
我が国の全企業に占める中小企業の割合は99%に達している。そのため、中小企業の活性化が、我が国産業の発展の重要なカギとなる。また、中小企業が独自技術・ブランド等の知的財産を磨き上げ、これら知的財産を権利化し、標準化し、または秘匿化等して、ビジネスにおいて活用していくことが、中小企業の事業、ひいては我が国の産業を発展させるものであると考えられる。
一方で、現在の我が国における、特許出願等の産業財産権の出願状況を見ると、大企業からの出願が圧倒的に多くを占めており、権利化を行っている中小企業は、全中小企業数の1%にも満たない。これは、上記のような権利化等の先にある、「ビジネスにおいて知財を活用する」という意識が、中小企業において十分に浸透していないことを示している。
「ビジネスにおいて知財を活用する」という意識が、中小企業において十分に浸透していない理由としては、中小企業では知財の権利化等に充てられる人員・資金が限定されている、販売活動・製造活動等の課題解決が優先されている、そもそも中小企業において知財を活用したビジネスを想定できない等が挙げられる。
また、特許出願等を行い、積極的な権利化を行っている中小企業であっても、権利化自体が目的となっており、これら権利が有効にビジネスに活用されていない場合も見受けられる。上記のような、知財の権利化自体が目的となってしまった場合、やみくもな特許出願等によって、例えば、ビジネスに活用されていない権利の維持費によって、却って経営が圧迫されたり、本来であれば秘匿化すべき製造方法等に係る技術が流出してしまう、といったリスクをはらむ。
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