高校存続・統廃合が市町村に及ぼす影響の一考察②~市町村の人口動態からみた高校存続・魅力化のインパクト~

2022/03/10 阿部 剛志、喜多下 悠貴
教育
学校

【要旨】

■高校存続群は、高校消滅群に比べて高校生世代(15-17歳人口)の減少が緩やかな傾向

○ 2015年国勢調査までのデータで検証していた2019年レポートに対し、2022年レポートでは2020年国勢調査の結果を追加したが、この5年間で両群の差には大きな変化は見られず、高校存続群において高校生世代(15-17歳人口)の減少が緩やかである傾向が引き続き確認された。

■高校存続群の中でも高校魅力化に取り組む学校(市町村)では、2015年から2020年にかけての15-17歳人口減少率がさらに緩やかな傾向

○ 高校存続群のうち、地方創生の観点から高校の魅力化に取り組んでいる高校(市町村)の一事例として、「地域みらい留学」参加校をモデルとして抽出し、これを「地域みらい留学校群」として、高校存続群全体との人口動態の比較を行った。

○ 地域みらい留学校群では、2015年から2020年にかけての減少率が高校存続群全体に比べて緩やかであった。地域みらい留学は、高校生が高校立地市町村に市町村外から転入し、同市町村にある寮等で生活することが一般的であることから、地域みらい留学自体が人口動態(国勢調査の結果)にも直接を及ぼしたと考えられる。

○ また、15歳未満人口においても、2015年から2020年にかけての減少率は、高校存続群全体よりも地域みらい留学校群において緩和されている傾向がみられた。

○ この結果は、地域みらい留学という高校生を対象とした留学事業(高校魅力化)が、高校生の転入を誘発するだけではなく、魅力的な高校が立地していることで、中学生未満のいる世帯の転出が抑制されたり転入が増加したりする形で人口動態に影響を及ぼしている可能性を示唆するものといえる。

続きは全文紹介をご覧ください。

【関連情報】
<2019年調査>

高校存続・統廃合が市町村に及ぼす影響の一考察
島根県の高校魅力化の社会・経済効果の分析
「魅力ある高校づくり(高校魅力化)」をいかに評価するか

<2022年調査>
高校存続・統廃合が市町村に及ぼす影響の一考察②・・・本稿
高校生の資質・能力を高める「学びの土壌」
学校での「高校魅力化評価システム」活用事例レポート

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