学校での「高校魅力化評価システム」活用事例レポート~エビデンスと対話による施策・プロジェクトの振り返り(EDPM)に向けて~

2022/03/10 阿部 剛志、喜多下 悠貴、永野 恵
教育

【要旨】

■2019年より公開した高校の組織診断ツール「高校魅力化評価システム」導入校は186校、40都道府県に

○ 当社は一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームと協働し、魅力ある高校づくり(高校魅力化)が、その高校に通う生徒に与える非認知的な資質・能力等に係る効果を可視化するためのアンケート調査「高校魅力化評価システム」を2019年に公開した。そこから約3年が経過し、2021年度に導入校数は186校に増加、高校所在都道府県のカバー状況を見ると、40都道府県の高校に導入されるまでとなった。

■高校魅力化評価システムを用いた「現場での振り返り」の鍵は「対話とエビデンスの往復」

○ 本稿では高校魅力化評価システムの「現場実践の振り返り」機能にフォーカスし、都道府県教育委員会や高校において評価結果がどのように活かされているか、実際の取り組み事例を紹介する。

○ 紹介事例をまとめて表現するのであれば、それは「エビデンスと対話による施策・プロジェクトの振り返り(EDPM:Evidence & Dialogue-based Policy Management)」の実例と言える。

○ 当社が行う、評価結果を活用した高校向けの集合研修プログラムは、大別して「①羅針盤を持つ」「②気づく」「③心当たりを探す」「④次の一手を考える」という4つの段階により構成されている。それぞれの段階において、対話とエビデンスの活用を往復させながら、評価結果の解釈を深めていくものとなっている。

■学校経営のPDCAサイクル構築、探究学習プロジェクトの振り返り等、様々な場面にエビデンスを提供

○  島根県教育庁では、2019年から全県立高校で高校魅力化評価システムを導入し、2019年2月に策定した「県立高校魅力化ビジョン」に基づく施策の評価の一部に結果を活用している。学校調査票と各校の結果をかけ合わせて分析することで、各施策が学習機会・学習環境の改善や生徒の成長につながっているかを検証している。また、知事部局との部局横断プロジェクトの企画立案や予算の協議においても、こうした評価結果を共有することで、データに基づいて施策を検討することができている。

○ また、県立高校における「グランドデザイン」の策定プロセスにおいて、教職員による生徒の現状把握、「育てたい生徒像」や教育活動の検討に評価が活用されている。「グランドデザイン」策定後は、各高校が「グランドデザイン」に基づく成果指標を設定し、毎年度取り組みを検証することで、PDCAを回して、教育活動のさらなる推進を図ろうとしている。こうした取り組みの具体例として、島根県立江津工業高校の例を取り上げている。

○  山形県立小国高等学校は、2019年度から2021年度にかけて取り組んできた「白い森未来探究学」の開発・実践に高校魅力化評価システムを活用した。同校では、育てたい生徒の力「オグパワ7」に対応する評価項目を中心に振り返りの校内研修を実施した。自らの取り組みに照らして評価結果を解釈し、現場で起きていたことを想起する中で「問題」を自ら特定し、今後の取り組みに向けた改善点が抽出された。

続きは全文紹介をご覧ください。

【関連情報】
<2019年調査>

高校存続・統廃合が市町村に及ぼす影響の一考察
島根県の高校魅力化の社会・経済効果の分析
「魅力ある高校づくり(高校魅力化)」をいかに評価するか

<2022年調査>
高校存続・統廃合が市町村に及ぼす影響の一考察②
高校生の資質・能力を高める「学びの土壌」
学校での「高校魅力化評価システム」活用事例レポート・・・本稿

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