自治体経営・官民協働

令和3年度 自治体経営改革に関する実態調査報告

2022/07/19 大塚 敬、土方 孝将、鈴木 淳
自治体経営
独自調査
自治体
変化を捉える【国・地域】

人口減少と高齢化を背景とした税収の伸び悩みや福祉需要の増大など、地方自治体の行財政運営を取り巻く環境は厳しい状況にあります。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により、財政状況の悪化や市民ニーズの変化などが生じています。地域の持続的な発展を可能にするため、地方自治体においては、これまで以上に行財政運営の効率と質の向上を図っていくことが強く求められます。

こうした状況を踏まえ、三菱UFJリサーチ&コンサルティング自治体経営改革室では、全都道府県、市区を対象として、自治体経営の実態と課題に関する実態調査を平成28年度より実施しています。

本年度の調査では、総合計画、行政評価、政策形成過程における市民参加、エビデンスに基づく政策形成(EBPM)、自治体のデジタル化(DX)、自治体SDGs、新型コロナウイルス感染症に対して行った対応策の実態と課題について把握・分析しました。

調査結果概要

■調査対象:全国の全都道府県47団体、全市792団体、東京都特別区23団体、計862団体

■回収数(率):425団体(49.3%)

■総合計画について

  • 総合計画の構成は3層が多数派であるが、2層が約2割となっており、1層(基本構想のみ)とする割合がわずかに上昇している。
  • 6割の団体が基本計画に事業を掲載し、8割弱の団体が重点プロジェクトを設定している。
  • すべてに目標値を設定している割合が6割となっており、定量的な目標値を設定していない割合は平成28年度以降最も低くなっている。
  • 「まち・ひと・しごと創生総合戦略」と「総合計画」を別に策定する団体は減少傾向にある。
  • 約9割が審議組織を設置しており、学識者、各種団体代表などで構成する団体が多い。

■行政評価について

  • 総合計画記載の事務事業評価は全部実施が約5割、予算資料上の事務事業は約3割強となっている。
  • 定量的な評価指標について、政策評価は約7割、施策評価、事務事業評価では約8割となっている。
  • 行政評価を予算編成に原則として反映している割合は上昇しているが、依然として3割程度にとどまる。
  • 行政評価の課題について、外部評価に係る事務作業・調整等の負担、改善の方針を策定することができていない割合が上昇している。

■総合計画策定における市民参加手法について

  • 総合計画策定時に「ワークショップ・市民討議会」を実施している割合は7割にのぼり、過年度調査と比較して増加している。
  • 提案された意見は、将来像・都市像・キャッチフレーズの策定に活用される場合が多い。
  • 提案された意見は、そのまま計画に記載されることは少なく、委員会・審議会や所管部課内の議論・検討における参考資料として活用される場合が多い。
  • コロナ禍におけるワークショップの開催は、対面開催が多いが、オンライン開催によって参加者層の多様化や運営の効率化等が図られている面も見られる。

■エビデンスに基づく政策形成(EBPM)について

  • EBPMへの関心は高いが、具体的な検討に至っていない。
  • 成果指標の前後比較を行う団体は7割、時系列比較を行う団体は5割、一方で推進しているが統計的手法がわからない団体が1割強となっている。
  • 行政評価の仕組みにEBPMを組み込んでいる団体が4割強、ロジックモデルを作成している団体が2割強となっている。
  • EBPM推進に向けては、「手法・ノウハウの獲得」「専門家とのネットワーク」「予算」「人手や庁内の理解不足」が課題として挙げられている。

■行政におけるDXの推進状況について

  • 大規模団体が先行して官民連携データ活用推進計画を策定している。
  • ビッグデータを活用している団体は限られるが、大規模団体では半数程度が既に活用している。
  • 行政手続きのオンライン化は82%程度の団体が積極的に進めていく方針である。

■自治体SDGsの取組について

  • SDGsに関する取組を「実施している」と回答する割合は60.0%で前年度から10.1ポイント増加し、「具体的な検討を進めている」と回答する割合を合わせると8割に達している。
  • 取組内容としては、SDGsの概念や取組を既存の計画の中に盛り込む事例が大多数であり、基本計画、まち・ひと・しごと創生総合戦略に反映する団体が多い。また、「目標達成に向け、具体的な事業を実施する」と回答する割合は2年連続で上昇している。
  • 取組を推進する上での課題としては、「SDGsに関する知識が足りない」が52.7%で最も高く、次いで、「庁内の理解が足りない」が51.3%で続いている。また、過年度調査の結果と比較すると、「人手が足りない」、「予算が足りない」が増加している。

■新型コロナウイルス感染症への対応策について

  • 市民向けの行政サービスの見直しは、「市民に独自の交付金を支給した」が半数、事業者向けの支援も独自の交付金の支給が8割を占める。
  • コロナ禍の影響により1/4の団体で出生率が低下しており、対策として子育て環境の充実に取り組んでいる。
  • 職員の在宅勤務は、在宅を希望する職員に対して許可をしている団体が過半数を占め、6割が行政端末で団体のネットワークに接続して在宅勤務しており、在宅勤務の環境整備が進んでいる。
  • Web会議は8割の団体が所定の共用PCのみで利用可能としており、ツールはZoomが最も普及している。

(続きは全文紹介をご覧ください)

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