エンジニアリングチェーン

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エンジニアリングチェーンとは、製造業において企画や受注から始まり、設計、製造準備、製造、保守保全等まで、設計を中心とした一連の業務プロセスのつながりを指し、その管理・最適化を図る手法を「エンジニアリングチェーン・マネジメント(ECM)」と呼ぶ。

類似する用語の「サプライチェーン・マネジメント(SCM)」がモノの流れを捉えて最適化することで商品供給の効率化を目指す手法であることに対して、ECMでは製品・技術に関する情報の管理・共有・活用を最適化することで製品設計力の向上を目指す。近年は、製品機能の高度化・複雑化が進み設計にかかる負担は増加しており、ECMによって設計プロセスを効率化することの必要性は増している。

エンジニアリングチェーンには設計や製造、企画、保守部門など多くの部門が関わってくることから、設計部門だけでなく組織横断的な仕組みを構築することが必要となる。ITを活用して情報共有できる基盤を構築するとともに、部門間で効果的に情報共有・活用するプロセスを整備することが重要である。たとえば、設計情報を製造部門に必要な情報を正しく伝達することで品質低下を防ぐことや、保守・保全を通じて得られた問題点に関する情報を設計部門へタイムリーに伝えることで設計の手戻りを防止すること等が期待できる。

(鈴木 一範)