移行リスク

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気候変動が企業経営や投資に与えるリスクのうち、低炭素社会を目指す過程における技術革新や政策変更などにより情勢が変化するものを指す。

移行リスクは主に「法や規制に関するリスク」・「テクノロジーリスク」・「市場リスク」・「レピュテーションリスク」の4つに分類することができる。「法や規制に関するリスク」として、カーボンプライシング、環境負荷の大きい製品や手法への法的規制や、環境負荷の低い手法導入の義務化、製品による環境的不利益を被った消費者からの訴訟などが挙げられる。「テクノロジーリスク」は、再生可能エネルギーによる発電や、炭素回収プラントなど、エネルギーに関する新技術に乗り遅れることである。「市場リスク」として、低炭素社会の移行に伴い、既存サービスや製品の需要減少が挙げられる。「レピュテーションリスク」として、消費者からの不買運動や、環境対応の遅れや不祥事などに起因する株式や企業価値の下落が含まれる。

移行リスクが企業経営や投資に影響を与えた例として、世界銀行の投資撤退が挙げられる。世界銀行は再生可能エネルギーの普及を目的に、石油や天然ガスの探査・採掘・開発などへの投資を2019年以降撤退している。