パーパス経営

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パーパス経営とは、企業が「目的」や「存在意義」を主軸にして事業を進めていく経営モデルを指す。パーパス(Purpose)は、目指したい方向性の指針となる企業理念と近しいものであると同時に、より具体的に「なぜその組織が社会に存在しているのか」、「組織の中で社員が何のために働くのか」を指し示すものとなっている。

こうしたパーパスを企業が定義づけるメリットは、大きく3つある。ひとつ目は、企業のブランド価値を向上させる点。2つ目は、パーパスに共感した顧客が増加する点。3つ目は、社員のモチベーション向上や目指すべき方向性が固まる点である。要するに、企業の「目的」や「存在意義」を明確にすることで、ステークホルダーの企業理解につながるという点に尽きる。

パーパス経営が着目される背景として、近年、利益中心の企業活動だけでなく、社会貢献も企業にとって必須課題となってきたことが影響している。売り手と買い手が満足するだけでなく、社会貢献が必要だという「三方良し」の言葉に体現される通り、日本企業は従来から世間に目を向けてきたともいえる。しかし注意しなくてはならないのは、すべての企業が早急にパーパスを策定し社会貢献を目指すことが、必ずしも正しいわけではないということだ。社員や顧客に代表されるステークホルダーが納得できるよう、社会貢献につなげられるような事業規模や成長度合いになっているか等、個々の企業に適したタイミングでパーパスについて議論していくことが重要である。

(張 智視)