閉鎖循環式陸上養殖

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閉鎖循環式陸上養殖とは、陸上の閉鎖空間で水を循環させることにより、魚や貝等の水産物を養殖する方法を指す。
「循環式」という名前の通り、水を循環させながら水中に排泄された餌や老廃物を取り除き、水質をクリーンに保つことで河川や海洋と接触することなく養殖を行う点を特徴とする。

閉鎖循環式陸上養殖では、汚染物質を完全に分解し、水の循環を維持するために高度な技術が必須である。たとえば、水質を維持するためには、水をろ過するための機械や装置が必要であり、また、適切な水温や餌の供給等、魚や貝が生きるために必要な環境を整える技術が必要となる。
閉鎖循環式陸上養殖のメリットとして、水中の汚染を防止できることが挙げられる。また、養殖される水産物の品質を高めることや、従来の養殖方法にくらべて養殖密度を高めることができるため、効率的な養殖が可能となる。

閉鎖循環式陸上養殖の運用には高度な技術が必要なため、設備や運用コストが高いことが課題となる。また、水質管理に不備がある場合は、水中の微生物が繁殖し、病気が蔓延するリスクが考えられる。
本方式が用いられる水産物として、ヒラメ、トラフグ、バナメイエビ、サーモン等がある。特に、近年グローバルで需要が伸びているサーモンについては欧州企業を中心に大規模な開発が進行しており、スウェーデンでは生産力10万トンクラスの施設が建設されている。

(羽生 直人)