カーボンニュートラル
温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、実質的な排出量をゼロにする取り組み、もしくは達成された状態を指す。英語では「Carbon Neutrality」と表記され、「CN」と省略する場合もある。
個人や家庭ではなく、国もしくは企業単位での取り組みを指すのが一般的である。温室効果ガスの吸収量を増加させる取り組みとしては、森林の維持・保全による植物の光合成による二酸化炭素の吸収が挙げられる。実質的なCO2排出量をゼロにする取り組みとして、バイオエタノール燃料などを主原料に使用したエネルギーの利活用もカーボンニュートラルの取り組みに含む場合がある。これは、植物が光合成時に大気中のCO2を吸収して成長するため、燃料として使用する際に大気中に排出されるCO2量は成長時に吸収されるCO2吸収量と打ち消しあい、実質的な排出量をゼロと見なす事ができるためである。排出量を削減させる取り組みとしては、再生可能エネルギーの使用や二酸化炭素の回収・貯留技術の利用が挙げられる。二酸化炭素の回収・貯留技術の手法としては、発電所などから排出される二酸化炭素を回収し、地中の岩石の隙間に二酸化炭素の貯蔵を行う。これにより、大気中に二酸化炭素が排出されることを防ぐことができる。
実現に向けた今後の課題として、サプライチェーン全体での対応が挙げられる。2030年までに、Apple社はカーボンニュートラル実現をサプライヤーに要求しており、Microsoft社は自社の温室効果ガス排出量ゼロとサプライヤーへの削減計画の提出を要求している。排出量の取り決めや目標決定は国や自治体で取り組まれているが、排出量に大きく影響を与えるのは、その国内での主力産業や企業である。