グリーンスチール

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グリーンスチールとは、生産時の二酸化炭素(以下CO2)等の排出量を削減した鉄鋼材料のことで、ゼロエミッションスチール、ゼロカーボンスチール、脱炭素鉄鋼、低炭素鉄鋼等と称されることもある。

世界の鉄鋼業のCO2排出量は産業部門の25%、総排出量の7%を占めており、日本においても、鉄鋼業のCO2排出量は産業部門の48%、総排出量の13%を占めている。こうした状況から、2050年のカーボンニュートラルを目指すためには、鉄鋼業の脱炭素化が重要な課題となっている。
これまで、日本では主な製鉄方法として、エネルギー効率が高く高品質な鉄が製造できる「高炉法」が使用されてきた。しかし、この手法は製造過程でCO2を多く排出することから、グリーンスチールの生産に向け、「COURSE50」(注1)や「CCUS」(注2)、「水素直接還元製鉄技術」等の開発が行われている。
これらの技術の商用化には、活用される水素を安価かつ安定的に供給するサプライチェーンの構築や、CCUSの社会実装に向けた技術の確立(CO2回収コストの削減等)が必要となる。

国際エネルギー機関(IEA)は、グリーンスチールの市場は2050年には約5億トンに拡大し、2070年には生産される鉄鋼のほとんどがグリーンスチールになると予測している。

(注1)COURSE50:水素活用還元プロセス技術。水素を活用したCO2排出量削減と、高炉排出ガスからのCO2分離・回収技術により、高炉排出ガスに含まれるCO2の30%削減を目指す取り組み。
(注2)CCUS:「Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage」の略称。産業活動により排出されるCO2を分離・貯蓄し、有効に活用する技術。CO2回収コストが高い。

(中島 美遥)