観光MaaS
旅行者を対象として、観光地までの来訪や観光施設間の往来に必要な移動手段をワンストップで提供するMaaS(マース)を指す。
MaaSとはMobility as a Serviceの略称で、鉄道やバスといった公共交通機関とレンタカー等の移動サービスを組み合わせて、その検索・予約・決済等をワンストップで行えるサービスを指す。元々は、環境対策やIT・通信の先進国であるフィンランドで発祥した考え方で、観光MaaSはそのMaaSに内包される概念である。
旅行者にとって土地勘のない観光地での移動は、地図・乗り換えアプリ等を頻繁に利用する機会となる。そうした旅行者に対して、移動時間や交通費用も考慮に入れながら、駅やホテルからおすすめの観光地までの最適経路を提案し、予約・決済等の機能をワンストップで提供するのが観光MaaSの便益といえる。
観光MaaSの導入により、土地勘のない旅行者の利用満足度を高めることにつながる。
観光MaaSの事例としては、東武鉄道やJTB等が運営する「NIKKO MaaS」がある。「NIKKO MaaS」は、栃木県の日光・鬼怒川エリアの鉄道やバスをスマートフォン上の特設サイトで予約できるフリーパスで、同時に周辺エリアの文化施設等の入場チケットも検索・購入できる。
こうしたツールの導入によって、旅行者の受け入れ側では、観光地全体での消費活性化や域内の周遊喚起が期待されている。個々の観光施設の収益力向上だけでなく地域全体を面で捉えた地方創生が可能となるため、観光MaaSに注目が集まっている。