製造DX

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製造DXとは、昨今、各社で取り組みが活発化しているDX(Digital Transformation、デジタルトランスフォーメーション)のなかで、特に製造業、または製造現場を対象とした取り組みを指す呼称である。

製造現場においては、これまでもITを駆使・活用した生産性向上・コスト削減の取り組みは行われていたが、最新のIT技術を以前よりも比較的安価に活用できる環境が整ってきたため、高度なIT活用による生産性向上・コスト削減に向けて取り組みが可能になってきた。ドイツが発祥となったインダストリー4.0の動きと相まって、工程間・企業間をまたいだ全体最適の動きにつながっているケースも多々存在している。

製造DXの特徴として、従来型の単一工程・単一工場の取り組みだけでなく、たとえば販売・受注予測に紐づいた生産・出荷計画の立案や、それを各活動の変動に応じて自動的に再設計・最適化を行う、といった企業内活動全体の取り組みにより、企業としては利益最大化を狙うといったことが挙げられる。
これらは概念として従来から存在していたものの、投資規模の大きさや実装の難易度の高さにより断念されてきた取り組みであるが、昨今のIT技術の発展により可能になってきた。また同様に、バリューチェーン全体で各企業の業務活動を一気通貫で結合することにより全体最適化を図る動きが、海外を中心に活発化しつつある。
単純な生産性向上・コスト削減だけでなく、IT技術活用により新しいエコシステム、ビジネスモデルを構築し、市場地図を描き換える動きにまでつなげていくことが、製造DXにふさわしい取り組みとなると思われる。

(浅野 長仁)