サーチファンド
サーチファンドとは、企業だけではなく、「サーチャー」と呼ばれる企業を経営する意欲のある個人にも投資を行う、バイアウトファンド(投資先企業の経営に関与して価値を高めたうえで売却し、利益をあげるファンドのこと)を意味する。サーチファンドは、「サーチャー」と、「サーチャーが経営することで財務的リターンが期待できる企業」に投資を行うため、経営人材探索/育成の色合いが強い投資形式である。
ファンドレイズ(新たなファンド設立のために投資家から資金調達すること)されたサーチファンドは、通常下記(1)~(4)のような流れで運営される。
(1)サーチファンドがサーチャーを探索。サーチャーを確保後は、サーチャーへの支援(投資先企業候補となる母集団の紹介など)を開始。
(2)サーチャーは、投資先企業候補の中から投資を実施する企業を選抜。その後、サーチャーが選んだ企業へサーチファンドが投資を実行。
(3)サーチャーが経営者となって、投資先企業の収益力を数年かけて強化。
(4)サーチファンド側とサーチャーが協力して、投資先企業の売却先を探索し、売却を実行。
従来型のバイアウトファンドは、投資先企業に対する実際の投資を実行した上で、投資先企業の経営をプロ経営者に委託していた。上記(1)~(2)の流れが、従来型のバイアウトファンドとサーチファンドの運営において異なる箇所となっている。
上記のような運営が行われるサーチファンドでは、従来のファンドにはなかった下記のような機能が期待されている。
(1)サーチファンドの投資においては、投資後の経営に責任を持つサーチャーの顔があらかじめ分かるため、後継者不在のオーナー経営者が、対象会社をサーチャーに託しやすいという性質がある。そのため、事業承継という日本経済の問題を解決する強力なインフラとして期待されている。(2)サーチファンドは、サーチャーが経営者として機能していくための支援を提供するため、プロ経営者を志すビジネスマンの養成機関としても機能する。