スマート水産業
スマート水産業とは、ICTなどの活用により、水産業の生産性や収益性の向上を目指す次世代の水産業スタイルを指す。
政府は2027年に、水産資源の持続的利用と水産業の成長産業化を両立させたスマート水産業の実現を目指し、資源評価担当者、加工流通事業者、漁業・養殖事業者間におけるデータの連携を推進している。
スマート水産業の実現に向けた主な取り組みを、以下に挙げる。
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(1)電子データに基づくMSY(最大持続生産量*)ベースの資源評価の実現
(a)産地市場や漁協からデータを効率的に収集・蓄積し、操業・経営の効率化や新規ビジネスの創出を目指している。 -
(2)水産バリューチェーンを構築し、作業の自動化や商品の高付加価値化を実現
(a)AIやICT、ロボットを導入することで、荷さばきや加工現場の自動化、電子商取引を推進し、全国主要産地の生産者・加工流通事業者の連携を促進する。これにより、情報の流通を強化して生産性の向上や物流の構築を目指している。 -
(3)新しい技術を用いて生産性・所得を向上し、担い手維持を実現
(a)沿岸漁場予測技術を活用し、効率的な操業の実現を目指している。
(b)養殖業においては、ICTの導入により養殖魚の成長データや給餌量、餌コストなどをデータ化することで、効率的かつ安定的な養殖業の実現を目指している。
(c)沖合・遠洋漁業においては、自動釣り機などを採用して、省人・省力化を目指している。
海外では、すでに競りの自動入札化なども進んでおり、日本でも今後、このようなスマート水産業の事例増加が期待される。
*長期的に漁獲量が最大になると認定できる範囲に、資源を維持する管理を行うことで得られる漁獲量
(中島 美遥)