「コーポレートガバナンス/リスクマネジメントに関するサーベイ」の結果について~サステナビリティ時代を生き抜くガバナンス態勢構築は道半ば~

2022/02/01

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:池田 雅一)は、2021年8月に日本企業を対象に「コーポレートガバナンス/リスクマネジメントに関するサーベイ」を実施しました。このほど調査結果を取りまとめましたのでお知らせいたします。

調査趣旨と結果

気候変動や人権の尊重をはじめとするサステナビリティを巡る課題は、過去に想定していなかった「危機事象」とあらたな「収益機会」を生み出すようになってきました。コーポレートガバナンス・コード改訂をきっかけとして、日本企業には、「攻め」と「守り」の両面からコーポレートガバナンスおよびリスクマネジメントのさらなる高度化が求められています。

そのような背景から、日本企業の現在の対応状況を理解し、立ち位置を把握することにより、より一層の高度化に向けた示唆を得るべく、「コーポレートガバナンス/リスクマネジメントに関するサーベイ」を実施しました。

今回の調査は、売上高500億円以上または東証一部上場企業のうち約4,200社を対象として実施し、267社から回答を得ました。

その結果から見えてきた日本企業におけるガバナンスの課題は、概ね以下の3点に集約されます。

  • ① 「守りのガバナンス」としてのリスク管理態勢の整備
  • ② 「攻めのガバナンス」としての「適切なリスクテイク」のための態勢整備
  • ③ サステナビリティ課題とリスク管理プロセスの統合~「攻め」と「守り」のガバナンスの融合

日本企業は、2015年6月のコーポレートガバナンス・コード適用以来、自社のガバナンス高度化を進め一定の成果をあげてきました。しかしながら、今回の調査により、伝統的な不祥事等の防止のためのリスク管理体制や内部統制システムの構築・運用においても、依然として改善余地があると考えている企業が多いことがわかりました。

また、「攻めのガバナンス」としての「適切なリスクテイク」、さらにはサステナビリティ課題へのリスク管理の統合といった、日本企業に新たに突きつけられている課題に対しては、対応が道半ばであると考えている企業が多いことが明らかになりました。

本サーベイのエクゼクティブサマリーについては、以下よりご確認ください。
コーポレートガバナンス/リスクマネジメントに関するサーベイ結果報告書~サステナビリティ時代のガバナンス/リスクマネジメント~

2023年8月3日訂正 資料ダウンロードフォームを通さずにご確認できるよう修正いたしました。

調査結果のポイント

① 「守りのガバナンス」としてのリスク管理態勢の整備

回答企業のうち半数以上が、有効なリスク管理プロセスが整備できていない、または整備されているものの十分に活用できていないと考えていることが判明しました。

リスク管理の仕組みの導入と管理利用について

図 リスク管理の仕組みの導入と管理利用について

② 「攻めのガバナンス」としての「適切なリスクテイク」のための態勢整備

自社のリスクに対する方針に従い過度なリスクテイクに走らないようにリスクとリターンのバランスを保ち、「攻め」のガバナンスを実現するためのフレームワークとして「リスクアペタイトフレームワーク(RAF)があります。これを活用した経営を実践できていると回答した企業は、回答企業全体(金融機関・非金融機関含む)のうちの約10%にとどまりました。

リスクアペタイトフレームワークの利用状況

図 リスクアペタイトフレームワークの利用状況

③ サステナビリティ課題とリスク管理プロセスの統合~「攻め」と「守り」のガバナンスの融合

65.5%の企業において、リスク管理部門とサステナビリティ部門の連携ができておらず、半数以上の日本企業が、リスク管理、サステナビリティ課題をそれぞれ別物として捉えて管理していることが判明しました。

リスク管理プロセスの仕組みの中に、サステナビリティリスクが含まれているか

図 リスク管理プロセスの仕組みの中に、サステナビリティリスクが含まれているか

調査概要

調査対象 売上高500億円以上または東証一部上場企業のうち約4,200社
実施時期 2021年8月
調査手法 調査票郵送方式

調査票の発送、回収、およびデータ入力作業については、株式会社東京商工リサーチに委託

有効回収数 267社(6.34%)
調査項目 Ⅰ.ガバナンスについて
Ⅱ.リスク管理について
Ⅲ.ガバナンス・リスク管理全般について
Ⅳ.新市場区分について
調査結果の表示方法 ① 調査結果は百分比(%)で表示する。
② 百分比(%)は端数処理の関係上、内訳の合計(100%)と一致しない場合がある。
③ 複数回答可の設問については、集計対象企業総数に対する百分比(%)の合計が100%を超える場合がある。

調査回答企業のプロファイル

図 調査回答企業のプロファイル

エグゼクティブサマリー(詳細資料)

本サーベイのエクゼクティブサマリーについては、以下よりご確認ください。
コーポレートガバナンス/リスクマネジメントに関するサーベイ結果報告書~サステナビリティ時代のガバナンス/リスクマネジメント~

クレジット表記について

本調査結果の引用に際しては、必ず下記クレジットを明記してください。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング「コーポレートガバナンス/リスクマネジメントに関するサーベイ」

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