令和3年度「ベストナッジ賞」を受賞 「固定資産税の口座振替勧奨ナッジ」(横浜市戸塚区との共同事業)

2022/02/21

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:池田 雅一、以下「MURC」)は、令和2年度に横浜市戸塚区(区長:吉泉 英紀)と共同で実施した、固定資産税の口座振替による納付を勧奨する「ナッジ」の実証事業について、令和3年度「ベストナッジ賞」を受賞しました。

本実証事業は、区民にとって安心・便利で確実な納付手段である口座振替利用率の向上を目的として、同区の固定資産税新規納税者に対して口座振替による納付を勧奨する「ナッジ」の効果を検証したものです。

【ナッジ(nudge)とは】
ナッジは、本来は「肘でつつく」という意味ですが、そこから転じて、人間の性質や心理的特性に配慮しながらより良い選択を促すという意味で使われています。ナッジは、個人の意思決定の自由を尊重しながら、少ない財政コストでより良い選択を促すツールであり、補助金、税制、規制・ルールといった伝統的な政策手段と補完的な第四の政策手段として世界的にも認知されるようになってきました。ナッジの第一人者であるシカゴ大学のリチャード・セイラー教授は2017年にノーベル経済学賞を受賞しています。

1.「ベストナッジ賞」コンテストの概要

「ベストナッジ賞」コンテストは、環境省と日本版ナッジ・ユニットBEST(Behavioral Sciences Team)が行動経済学会と連携し、平成30年度より実施しています。幅広い分野にわたる社会・行政の課題解決に向けて、ナッジ等の行動科学の理論・知見を活用して行動変容を促進し、効果を測定した実績のある取り組みに対して環境大臣賞を表彰するものです。

(参考)
令和3年度「ベストナッジ賞」コンテストについて(環境省報道発表資料)

2.「固定資産税の口座振替勧奨ナッジ」(横浜市戸塚区との共同事業)について

横浜市では固定資産税(土地家屋・償却資産含む)の納付方法を、納付書(金融機関及びコンビニエンスストア)・口座振替・クレジットカード等から選択することができますが、納期限までに納付されなかった場合、納期限の約1ヵ月後に督促状を発送しています。

納付書による納付を選択した場合に、納付書の紛失や納期限の失念等によって納期内に納付されないケースが一定数存在します。これらの納税者が口座振替による納付を選択することで納期内納付率が高まれば、行政としても督促状の発送や滞納整理等にかかるコスト削減につながり、納税者としても納付の手間や延滞金支払いのコストを削減することにつながります。

このため、納税者個々の選択の自由を保ちながらより賢明な行動の選択を働きかける「ナッジ」の知見を活用して、口座振替勧奨チラシをデザインしたうえで、横浜市戸塚区の固定資産税新規納税者に対してランダムに、①ナッジの知見を活用した口座振替勧奨チラシを送付したグループ、②従来の口座振替勧奨チラシを送付したグループ、③何も送付しなかったグループの3グループに分け、それぞれの口座振替申込率を比較する実証事業を行いました。

効果検証の結果、①のナッジの知見を活用したグループは、②の従来型のグループと比して口座振替申込率が2倍以上に上昇していることが明らかとなりました。

(参考)
ニュースリリース「横浜市戸塚区との共同実証事業 「ナッジ」の活用で固定資産税の口座振替申込者が倍増

3.当社のナッジに関する取り組み

MURC行動科学チーム(Murc Experimental and behavioRal Insights Team:MERIT)について-
税、補助金、規制・ルールといった伝統的な政策手段に加えて、行動経済学や行動科学の知見に基づくナッジ等が、新しい政策ツールとして国内外で使われるようになってきました。

当社では、2019年より民間シンクタンク初のナッジユニットとして行動科学チーム(MERIT)を発足させ、行動経済学・行動科学や実験的な政策効果検証手法を活用した政策立案・政策実行支援、コンサルティング業務を実施しています。

本件に関するお問い合わせ

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
行動科学チーム  小林 庸平(リーダー)、 西畑 壮哉、 石川 貴之
〒105-8501 東京都港区虎ノ門5-11-2オランダヒルズ森タワー
E-mail : merit@murc.jp

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