【M&A実態調査】ポストコロナ時代を見据えたM&A戦略とは売上高1,000億円以上の企業では、非中核事業の売却や DX・グローバル化実現のための買収への意欲が高い

2021/02/24

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:村林 聡)は、2020年9月に国内の有力企業約5,000社を対象とした「M&Aの実態調査」を実施いたしました。277社から回答を得て、このほど調査結果を取りまとめましたのでお知らせいたします。
本調査は、目まぐるしく変化する社会におけるM&Aの潮流を把握するとともに、M&Aを成功させるために必要な取り組みや要因を明らかにすることを目的として実施したもので、回答企業277社のうち約3分の1が年間売上高300億円~500億円、約3分の1が同500億円~1,000億円、約3分の1が同1,000億円以上となっていることから、企業の売上規模や業種による回答傾向の差異についても比較分析をおこないました。

調査結果のポイント

1、新型コロナウイルスの感染拡大がM&A実務に及ぼした影響

  • 相手方との面談は、8割超の企業がオンライン会議を利用。オンラインとリアル対面の使い分けが課題に。
  • デューディリジェンス(DD)において、特に売上高1,000億円以上の企業では、対象会社の「ITプラットフォームの状況」、「リモートワーク等を可能にする労務面・人事評価面等の制度対応の状況」、「従業員に対する感染防止対策の充実度」を重視する傾向。

2、ポストコロナ時代を見据えたM&A戦略

  • これからのM&Aは、「中核事業を強化するための買収」、「新規事業分野へ進出するための買収」、「今後中核事業へ成長させたい事業を強化するための買収」が主な狙いに。特に、売上高1,000億円以上の企業では、「DXを実現するための買収」、「非中核事業の売却」、「グローバル化を実現するための買収」にも意欲的。
  • 海外M&Aの候補地は、7割超が東南アジア。中でも、ベトナム、タイ、インドネシアが主たるターゲット。
  • 今後買収したい事業分野は、業種問わずIT・情報通信業を挙げる回答が多い。このうち、興味のあるテクノロジー分野としては、「AI・ビッグデータ関連」と「IoT関連」が7割を超えるが、業種ごとに興味のあるテクノロジー分野に特徴がみられた。
  • デジタルM&A(ITサービス、インターネット企業、ソフトウェア、関連ハードウェア企業へのM&A)に取り組んだ際に苦労した点としては、「適正な価格での買収」が筆頭に挙げられる。
  • デジタルM&Aを成功させるために必要なこととして、「技術力・ビジネスモデル・事業の将来性の適切な評価」が重要視されている。

3、M&Aの具体的な取り組み

  • M&A戦略を策定している企業は半数に満たないが、売上高1,000億円以上の企業では5割超、売上高5,000億円以上の企業では約7割がM&A戦略を策定。
  • FA(フィナンシャルアドバイザー)を選定する際に重視する点としては、M&Aの実施件数が多い企業ほど、「実際に担当するディールヘッドの経験・力量」、「自社でのFA起用実績」を重視する。
  • PMI(買収後の経営統合作業)を進めるために「中期経営計画の策定」、「情報システムの統合」などの施策をおこなうも、「企業文化の融合」、「買収先従業員のモチベーション向上」、「業務プロセスの見直し」などでは苦労している。売上高1,000億円未満の企業では、PMIに十分なリソースを充当できていない可能性がある。

4、過去5年間のM&Aにおける成果

  • M&Aの実施件数が多い企業ほど、想定以上のシナジーを実現していることがわかった。
  • 国内M&Aについては、約7割の企業が期待どおり、もしくは期待以上の成果があったと回答。
  • 海外M&Aについては、約6割の企業が期待どおり、もしくは期待以上の成果があったと回答。
  • 成果について期待通り、もしくは期待以上の成果があったと回答した企業が、M&Aを成功させるために重視している点として、 ①自社の戦略に合致する買収対象企業の要件を予め定義しておくこと、②PMIは遅くともDD実施期間中には着手すること が挙げられる。

調査結果の詳細は全文紹介をご覧ください。

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