サステナビリティを取り入れた事業戦略検討のキーとなる“社会シミュレーション”

2021/10/19 梅木 秀雄
Quick経営トレンド
サステナビリティ

昨今のサステナビリティ(持続可能性)に対する企業の取り組みについて、CSRやコンプライアンスの文脈だけで捉えるのはもはや時代遅れであり、社会的価値とビジネス価値の両方を最適化した事業戦略に組み込むことが求められています。さらに、より具体的な実践計画と定量的かつ客観的な分析・評価をすることが、企業の存続と持続的な成長の条件であると言えます。

社会的価値とビジネス価値の最適化

自社事業をコアとするサステナブルな事業戦略を練る際、社会的価値とビジネス価値を両立するのは容易ではありません。たとえば割高な再生可能エネルギーやリサイクル材の導入に取り組む場合、社会的価値は明らかですが、自社のビジネス価値につなげるとなると、必然的に複数のステークホルダー、バリューチェーン、セクターを含むスコープが前提となるからです。

事業戦略にサステナビリティを取り入れるには、たとえば以下のような典型的なパターンがあります。

  • 自社事業に必要な調達資源をより持続可能なものに変える
    例:材料、エネルギー、労働資源などを経済メリットや安定調達も考慮して最適化
  • 自社事業の全バリューチェーンにおける社会的価値を見える化する
    例:自社活動におけるCO2排出量などをマッピング
  • 既存製品の利用サイクル全体を革新する
    例:オンデマンド化、共有化、リサイクル化など
  • バリューチェーンや利用サイクルを地域化・マイクロ化する
    例:一部の地産地消化により環境負荷軽減と地域経済活性化

社会シミュレーションがキーとなる

上述したパターンを取り入れるには、具体的な製品やスコープを当てはめて実現可能性を検討するための定量的な試算・評価が必要となるケースが多く見受けられます。具体的には、企業の生産活動や製品利用の行動が、環境と事業にどう影響するかをモデル化し、現状把握・予測・意思決定を行います。このようなモデル化は社会シミュレーションと呼ばれ、さまざまなレベルで開発が進んでいます。

企業がサステナブルな事業戦略に基づき意思決定するには、注目する製品・サービスについて、特定の業界や地域におけるリアルなデータに裏付けされていることが重要です。たとえば、現在のサプライチェーン排出量1算定は、企業での各種活動量に対して、基準となる排出量原単位を掛け算して得られるものです。ただし、この算定では、排出量の比較や経年変化の把握はできたとしても、ビジネス戦略を検討するには不十分です。それには、事業活動におけるさまざまなオプションが顧客や従業員の行動にどう影響を及ぼすかをモデル化し、行動を予測することが必要となります。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングでは、社会的価値とビジネス価値を両立するこれからのサステナビリティ事業戦略のため、人の特性や価値観の違いを考慮した行動モデリング・分析手法に取り組んでいます。ご興味のある方はぜひお問い合わせください。


1 事業者自らの排出だけでなく、原材料調達・製造・物流・販売・製品の使用・廃棄までの一連の事業活動全体に関わる温室効果ガス排出量。
参考:環境省 グリーン・バリューチェーンプラットフォーム

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