婚活と社会の結婚支援力

2010/06/15 岩室 秀典、小森 清志
ライフプランニング

結婚したいと考えている人は多いが、未婚率は上昇している

婚活が話題になっています。TVドラマなどでは、キャリア女性が特に注目されていますが、私の暮らす愛知県は製造業が基幹産業であるため男性の未婚率が高く、未婚者といっても非常に多様です。
結婚をする・しないは、もちろん個人の判断です。ただし、未婚者に結婚への考え方を尋ねたところ「いずれ結婚するつもり」と回答する人が約9割を占めるなど(「出生動向基本調査」国立社会保障・人口問題研究所)、結婚したいと思っている人が多いことがうかがわれます。
我が国の未婚率は上昇傾向にあり、例えば、30~34歳の未婚率は2005年時点では男性で47.1%、女性は32.0%となっています(「国勢調査」総務省)。独身にとどまっている理由としては、「適当な相手にめぐり合わない」「自由や気楽さを失いたくない」「仕事(学業)に打ち込みたい」「結婚資金が足りない」ことなどあげられています(「出生動向基本調査」国立社会保障・人口問題研究所)。

社会の結婚支援力が低下してきている

現代は、結婚に対して、多様な価値観を認めていますが、家族・親戚、地域、職場など以前は備えていた結婚支援力はかなり低下して、そろそろ結婚したいなあと思ったときにサポートが少なく、個人の決断・行動のウェイトが非常に高い社会構造になっています。
自分から、婚活パーティに行ったり、農業体験や野球観戦等の婚活ツアーに参加して、エネルギッシュに活動することが得意な人はそんなにも多くはないと思います。そもそも、異性とのコミュニケーションが苦手な人はたくさんいますし、晩婚化・共働き社会の中でお互いのライフスタイルや価値観のすりあわせが以前より難しくなっています。また、特に男性では、こんな雇用環境が厳しい中、結婚しよう・結婚を前提につきあおうなんて、とても言い出せないと考えている人もみられます。
「結婚するのは本人の責任」というのは簡単ですが、本人の責任が過去にないほど、大きな社会になっているということに注目する必要があります。なかなか、うまくいかないなあ、一歩が踏み出せないなあと思いながら時間が経過してしまうと、年齢が上がっていき、ますます結婚しづらくなっていきます。

現代における社会の結婚支援力の構築に向けて

このような中、一部の行政・公益法人・商工会議所などで、異性との出会いの機会づくり、コミュニケーション講座、結婚支援活動を担う地域サポーターの育成、結婚のよさのPRなど、様々な結婚支援の取り組みが始まっています。もちろん、結婚紹介事業者は現代社会に合った様々なプログラムを開発していますし、企業におけるダイバーシティマネジメントや次世代育成支援も、結婚支援に深くつながっています。友人、家族・親戚、地域、職場、結婚紹介事業者、行政も含めて、結婚したいと考えている人にその足掛かりとなる多様な支援がある新たな結婚支援社会の構築が求められています。

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