ニート・ひきこもりの方への支援に向けて

2011/05/26 岩室 秀典、近藤 洋平
地域
地域共生社会

子ども・若者育成支援推進法が平成22年4月に施行となりました。同法は、都道府県や市町村に子ども・若者支援地域協議会の設置を努力規定として求めています。主な支援対象者は、ニート(若年無業者)・ひきこもりの方です。
全国でニートは約82万人、ひきこもり者は広義で約70万人と内閣府では推計しています。人口10万人で換算するとニートは約640人、ひきこもりは約600人となります。ニートとひきこもりで重複している人がかなりいると思いますが、その数は不登校者より多く、特別なことではなく、身近な問題になっています。本人や家族が大変な思いをすることはもとより、就学・就労など青年期の貴重なキャリア形成の機会を失い、社会的な自立が遅れてしまうなど社会全体にとっても大きな損失となります。
このように支援を求める多くの人の存在が明らかになっていますが、市町村からは、「支援のための人員・ノウハウがない」「協議会の設置には多大な労力と予算を要する」「それほど相談がなくニーズを実感できない」など、戸惑いの声があがっています。
協議会を設立してニート・ひきこもりの人や家族を専門的なネットワークで支援することは理想的ですが、大きな制度改正や多額の財政措置を伴わなくても、各市町村でできることがたくさんあります。
まず、担当部署を決めて、青少年・教育・保健・福祉・就労など各担当が合同で情報交換や研修を行うことができます。地域には、就職の斡旋・仲介するハローワークがあり、ニート支援として地域若者サポートステーションの整備が進んでいます。また、病気や障がいは医療機関、ひきこもりの相談は保健所があり、NPO、家族会、サポート校、職業紹介事業者など様々な民間の支援機関もあります。その情報を共有して、窓口にきた人を適切な支援機関に紹介していくことができます。
また、ニートやひきこもりの人は、それまでに様々な失敗や苦労を積み重ねており、「たるんでいる」「もっとがんばれ」と叱咤激励しても逆効果であることが多く、相談窓口での応対について基本的な研修が必要です。なお、窓口相談については、専門機関や家族会などの協力を得て相談日を設定している自治体もあります。
このように様々な機関(近隣の市町村や都道府県を含めて)と連携していくことが効果的であり、病気や障がいの有無を確認し、ほっとできる場所をつくり、社会で生活していく上でのスキルを高めていく、そしてその人にあった就労を支援していくことが必要です。このような観点から、各市町村の現状にあった早期発見と支援体制をどのようにつくっていくかを検討することが求められています。

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