震災復興計画が個別自治体ごとに策定されている

東日本大震災の発生から３ヶ月以上経過して、2011年6月24日に東日本大震災の復興基本法が公布・施行された。基本法に基づき、東日本大震災復興対策本部が設置され、今後、本部長である首相を中心に、復興基本方針の策定、復旧・復興事業の規模や財源について検討を進めていく予定である。
東北の被災自治体においては、今後の復旧・復興に向けた基本的な方針や行動計画について定める震災復興計画が策定されているところである。計画に盛り込まれる復旧・復興事業は、必要性、緊急性、有効性の観点から取捨選択されるものと考えるが、震災被害の大きさに鑑み、計画に盛り込まれる復旧・復興事業の遂行に必要となる予算や人員は膨大なものになることが予想される。実際、被災地域のなかでは、震災発生前から人口減少や高齢化などの問題が顕在化し、地域の活性化上の課題を抱えていた地域が多く、個別自治体が単独で復旧・復興に向けた課題に対応していくことは極めて困難である。
被災自治体が策定している震災復興計画は、個別自治体ごとに策定されており、広域的な事業などは近隣の自治体や県と連携・協力して推進することを視野に入れてはいても、計画の策定段階から広く連携・協力関係を構築した上で、計画を策定する体制にはなっていないのが現状である。

（1）被災地を統合・調整する機関が必要！

道州制の議論は、自民党政権時、2008年3月24日に公表された道州制ビジョン懇談会の中間報告以降、民主党政権のもとでは進められていない。
今回のように、複数の市町村で行政機能を含め、ハード・ソフトの社会・産業インフラが大きなダメージを受けている状況においては、道州制の観点を踏まえ、既存の自治体の枠組みを超えて、被災自治体全体を統合・調整する機関を作ることが必要である。そのような機関が、計画策定段階から広域的な連携・協力の枠組みを策定した上で、被災地域全体を対象とした復旧・復興計画の全体像を描き、その全体計画を個別自治体の計画に落とし込むことで、自治体間で協力・連携をしながら効果的かつ効率的に計画を推進する体制を構築することが必要である。
個別の復興事業についても、経済圏を共有する複数の自治体で連携して行うことが、対応のスピード・コストの両面から望ましいと考えられる。例えば、産業ごとの施設・設備の整備は、各自治体単位で行うのではなく、必要な財源の調達も含めて、共同・連携して整備することが効率的である。その際、地域横断的に共有した方が産業政策上効果的な施設・設備は共有すべきである。

（2）道州制の観点からの東日本の復興のあり方を検討することが重要！

東日本大震災により、東北地方を中心に自治体が大きな被害を被った今こそ、従来議論されてきた道州制の観点から、東日本の復興のあり方を検討すべきである。
個別自治体の経営資源や取り組みを補完し、自治体間の協力・連携を行うための体制・仕組みを構築することにより、復旧・復興に向けた自治体ごとの取り組みをとりまとめ、復興計画の策定・推進をより効果的・効率的に実施していくことが可能になると考えられる。

東日本の復興のあり方についての検討

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