○これまでの短期的な価格動向～平時で30ドルの割高相場はいったん解消
原油価格（ＷＴＩ期近）はイラク戦争終結後も、低水準に落ち込んだ米国民間原油在庫やイラクの生産・輸出回復の遅れなどに影響されて30ドル前後で高止まりを続けた。しかし、8月下旬以降は利益確定のための投機筋のポジション解消に伴い26ドル台に5ドル以上下落した。その後、9月24日にＯＰＥＣが予想外の減産を決定した後は29ドル台に戻している。

○今後の原油価格に影響を及ぼすポイント～需給バランスは供給過剰へ

世界景気の動向と需要見通し：世界景気の回復力が強まるものの、特殊要因が剥落するため世界需要の伸びは緩やかなものにとどまる見込みである。
イラクの生産・輸出の回復状況とＯＰＥＣの生産政策：治安悪化で遅れていたイラクの生産・輸出が9月に入って急回復している。このため、ＯＰＥＣは9月24日の総会で減産を決定したが、イラクの生産が本格回復してくる中で、季節的な不需要期入りを前にした2004年3月10日の総会で追加減産を迫られる可能性がある。
非ＯＰＥＣ産油国の供給見通し：ＯＰＥＣの減産によって原油価格が高水準で維持される一方、生産能力を増強した非ＯＰＥＣ産油国の供給拡大が続く見込みである。
世界の需給バランス：2003年第4四半期に供給過剰に転じると、その後も需給緩和が一段と進展する見込みである。
在庫を中心とした米国の需給動向：米国民間原油在庫は割高な価格と価格先安観の強まりなどを背景に落ち込みが続いているが、今後は緩やかに増加して価格下押し要因となる見込みである。ただし、在庫の長期的な低下トレンドは価格下支え要因となる。

○今後の見通し～年内は堅調に推移するものの、2004年は緩やかに下落
イラクの生産回復と非ＯＰＥＣ産油国の増産が、世界景気の拡大にともなう需要の拡大とＯＰＥＣの減産を上回り、需給バランスが供給過剰に転じるため、価格は下落基調を見込む。ただし、年内はＯＰＥＣの生産政策に対する評価の高まり、冬場の需要期に向けた需給逼迫懸念の高まりなどを背景に価格は底堅く推移する。2004年は供給過剰が続き原油価格は下落傾向を続ける見込みである。

原油価格見通し

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