○2004年4月から法人事業税に外形標準課税方式（新方式）が導入される。新方式の影響を考察するために、現在実施されている方式（現行方式）と新方式による法人事業税を上場企業3,284社を対象に試算した。試算結果によると、全企業の税負担は、新方式導入で現行方式に比べ約284億円（１社あたり平均9百万円）増加する。業種別にみると、輸送用機器、医薬品で100億円以上税負担が軽減するのに対し、建設、電気機器、陸運、小売などで負担が増加する。

○税負担変化額（新方式と現行方式の差額）を個社別にみると、税負担が大きく軽減する輸送用機器、医薬品、情報通信では、ある特定企業の税負担が大きく軽減している。こうした業種では、特定企業での税負担軽減効果が業種全体の負担軽減につながっているといえ、個別にみると税負担が増加する企業も少なくない。

○資本等の金額がほぼ同水準である電気機器と輸送用機器を比較すると、電気機器は人件費などの付加価値額が小さいものの、利益水準が低く、結果として新方式導入で税負担が増加している。一方、輸送用機器では、付加価値額が大きいものの利益水準も高く、新方式導入によって税負担が減少している。

○97年度以降の新方式と現行方式の税負担をみると、利益が増加（減少）した年は格差が縮小（拡大）する傾向にあり、新方式による税負担変化は、利益動向に大きく左右される。2004年度の利益が、当社見通し（前年比＋10.9％）程度まで拡大すると、新方式による税負担は現行方式と同程度となり、増益率が＋20％まで拡大すると税負担は約260億円減少する。外形標準課税による税負担を軽減するには、人件費を中心とした外形標準部分を圧縮するよりも、外形標準部分を有効活用して利益拡大を指向した方が有効といえる。

外形標準課税導入で変わる法人事業税負担

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