～求められる内販重視戦略へのシフト～

現在、日本企業は、中国特需に沸いている。日本は中国向けの輸出シェアが高く、米国やドイツ以上に中国特需の恩恵にあずかっている。しかし、「特需」はそもそも一過性のものである。一方、今年３月の全人代では、中国経済を現在の投資中心の構造から、消費がけん引する構造に転換させるという長期的な経済運営の方針が明らかにされた。日本企業の対中戦略は、こうした中国の長期的な経済戦略を踏まえたものとなっているのだろうか。
対中進出企業の日米比較から以下の諸点が明らかとなった。（1）対中直接投資累計額は日米で大きな差はない、（2）日本の対中直接投資は米国に比べて製造業中心で、かつ製造業内での偏りが小さい、（3）中国現法の母国向け輸出比率において、日系は米系の約3倍、（4）米系中国現法は中国国内販売を重視し、高い利益率を維持している
今後、（1）中国経済の発展が個人消費主導にシフトしていく可能性が高いこと　（2）近い将来、人民元切り上げにより、中国生産の低コスト・メリットが弱まる可能性があること、（3）一方で、個人所得の増加を推進する政策により、個人の購買力が拡大し、中国の市場としての魅力が一段と高まること、を考えると、中国市場で稼ぐ米国型の内販戦略へのシフトが必要となってこよう。内販戦略で先行する米系現法と伍し、「特需」後も活力を維持するためには、改めて研究開発を含めたヒト（経営）とモノ（調達）の「現地化」戦略の検討が必要だと考える。

「特需」後の対中戦略

お問い合わせはこちら

テーマ・タグから見つける

テーマ

タグ