～2004年米大統領選候補の経済政策～

11月2日の投票日まであと4ヵ月を切り、米国の大統領選挙戦が本格化してきた。今回の大統領選挙は、現職の共和党ブッシュ大統領と民主党のケリー上院議員の間で争われる。本稿では、両候補の主要な経済政策を取り上げ、それらが今後の米国経済にどんな影響を与える可能性があるかについて考えてみた。

○両候補の経済政策の基本姿勢

ブッシュ～「思いやりのある保守主義（Compassionate Conservatism）」

ケリー　～中間所得層（middle class families）の利益の回復

○景気

政策　：両候補とも大型減税など景気の流れを変えるような政策は掲げていない。

先行き：景気は自律的な拡大局面にあり、どちらが当選しても拡大継続が見込まれる。

○雇用

政策　：ブッシュ～減税による景気浮揚と雇用回復の実績を強調。

ケリー　～海外への雇用流出の抑制を狙った政策を主張。

先行き：当面は景気拡大による雇用の増加基調が継続するとみられる。ケリー候補が掲げる雇用政策の実効性には疑問も多い。

○財政赤字

政策　：ブッシュ～2009年までに財政赤字額を半減。

ケリー　～2008年までに財政赤字額を半減。

先行き：両者とも支出抑制により財政赤字削減に取り組む方針。景気拡大による税収増加が追い風になるが、その一方で、安全保障や社会保障関連費用の増加が赤字抑制の足を引っ張る可能性が高い。

○通商

政策　：ブッシュ～自由貿易の推進が原則。

ケリー　～雇用政策の一環として、保護主義的な通商政策を主張。

先行き：ブッシュ再選の場合、自由貿易の一層の推進が予想される。一方、ケリー当選の場合、日本や中国に対する風当たりが強まることが懸念される。

ブッシュ対ケリー