～所得と人口の伸びを背景に住宅価格下落は回避される見込み～

○米国の住宅価格上昇率を地域別にみると、西部地域の上昇寄与度が最も高い。また、州別の住宅価格上昇率をみても、西部13州のうち11州が全米平均上昇率を上回っている。米国の住宅ブームは、西部地域で顕著である。

○西部諸州の所得の伸びはいずれの州でも全米平均を上回っており、住宅価格との相関がみられる。また、住宅価格上昇率の押し上げには人口増加も寄与したと考えられる。

○西部地域の中でも、ネバダやアリゾナの人口増加率が高い。これらの州では、海外からの移民よりも、国内の他州からの人口流入の増加が目立っている。こうした背景には、隣接するカリフォルニアの実効税率の高さを嫌い、人口が周辺地域に流出する動きもあるとみられる。また、人口移動の主役はベビーブーマー世代である。

○一部都市の住宅価格は、過去のトレンドと比べると行き過ぎた上昇率を示している。個人の金融負債は拡大しており、今後、これら都市の住宅価格が調整に転じれば、全米規模で住宅価格が下押しされる可能性がある。もっとも、米国の住宅ブームの背景にある西部地域を中心とする所得の高い伸びや人口増加の要因を踏まえると、西部の住宅価格が急速に落ち込むとは考えにくく、実需を背景に緩やかな鈍化にとどまる公算が大きい。西部の上昇率が緩やかに低下する標準シナリオを試算すると、2006年の米国全体の住宅価格の上昇率は7％台となる見込みであり、前年割れに至る調整は回避されると考えられる。

米国の住宅価格の鍵を握る西部地域

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