～　ＩＴサービス輸出大国に成長するインド　～

○高成長を続けるインド経済のなかでも、特に好調な部門がＩＴサービスである。インドのＩＴサービスは、輸出主導により急成長を遂げてきた。これは、英語力の高さ、人件費の安さ、理数系人材の豊富さ、というインドの強みが発揮されたものといえる。また、インターネット利用によるオフショア・サービス方式の普及も、海外からインドへの業務発注を増加させるきっかけになったといえる。

○インドのＩＴサービスは、ソフトウェアのデバッギングから始まり、次第に高度なプログラミングへとシフトし、さらに、ネットワーク・マネジメントやコンサルティングなどの高付加価値業務にまで拡大した。また、最近では、ＩＴを利用したさまざまな業務のアウトソーシングを世界中から受注している。

○企業が経費節減のために業務のアウトソーシング拡大を図る動きは世界的に強まっている。これを追い風に、インドは、英語力、人件費の安さ、人材の豊富さを武器に、世界中から業務アウトソーシング受注を増やし、今後もＩＴサービス輸出を拡大させると見られる。ただ、インドのＩＴサービスにも問題がないわけではなく、非英語圏での競争力確保や人件費上昇などが課題として浮上しつつある。

○ＩＴサービスは、今後もインドの強みを活かせる産業として成長が期待できる。しかし、インド経済全体の底上げは、ＩＴサービス部門の拡大だけでは成し得ないことも事実であり、むしろ、ＩＴサービス以外の産業（特に製造業）の成長が今後重要であろう。そのためには、以前から指摘されてきた「インフラ整備」と「規制緩和」という２つの課題にインド政府が着実に取組んでいく必要があろう。

急速に拡大するインドのＩＴサービス

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