～　中国に続く乗用車の有望市場となるか？　～

○日米欧の乗用車販売が伸び悩むなか、世界の大手自動車メーカーは、人口が多く経済の高成長が続く新興市場国への関心を強めている。今、中国に続く有望国として注目されているのは、人口大国であり、個人消費を中心に経済が高成長を続け、政治社会情勢にも安定感があるインドとロシアである。

○インドは、1990年代以降の経済高成長を背景に中高所得層が拡大し、乗用車の販売が好調である。高所得層を中心に乗用車を複数保有する世帯が増えており、乗用車の保有サイクルも短縮している。低金利を背景とするオートローン拡大にも支えられて、乗用車販売台数は2001～2005年の4年間で倍増した。インドでは、ガソリン価格が高いことなどから、乗用車市場は小型車が中心であり、日系合弁企業の生産する小型車が市場の半分近くを占めている。

○原油価格高騰を追い風に景気拡大が続くロシアでは、外国乗用車の販売が急増している。ロシアは、小型車中心のインドと違って、大型車や高級車の販売が好調である。これは、市場経済移行にともなって多数の富裕層が誕生したことによるものと考えられる。実際、外国乗用車需要の中心地は、高所得層が多いモスクワである。

○インドとロシアでは、高所得層人口の伸び率が高いことから、今後も乗用車販売台数の高い伸びが期待できよう。ただし、乗用車販売拡大のためには、乗用車購入ローンなど個人向け金融サービス拡充が必要であろう。また、モータリゼーションに対応するため、大都市を中心に道路交通インフラの整備が課題となろう。ロシアでは、日本のメーカーが2007年以降現地生産を開始し販売競争が激化する。ロシアでの自動車関連裾野産業の育成による品質・コスト競争力向上が、各社の乗用車販売の成否を左右する重要なポイントとなろう。

インドとロシアの乗用車市場

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