○2003年1-3月期、9.9％成長と好調さを見せつけた中国経済であるが、足下はＳＡＲＳ（重傷急性呼吸器症候群）の影響により、先行き不透明感が広がっている。

○ＳＡＲＳによる経済的影響は、(1)観光関連産業への影響、(2)観光以外の一般消費関連産業への影響、(3)輸出・投資関連の生産活動への影響などが主なものである。(1)と(2)はすでに表面化している影響で、2003年について、それぞれ0.4％ポイント、0.3％ポイントずつＧＤＰ成長率を押し下げる可能性がある。(3)は今後表面化する可能性のある影響である。輸出への悪影響が地場企業から出てきつつあり、最大で2.1％ポイントＧＤＰ成長率を押し下げる可能性がある。

○2003年のＧＤＰ成長率は、観光と消費にのみにとどまる場合で7％程度。輸出や投資にまで影響が現われてくる場合、景気刺激策や中国への信頼回復のための措置が積極的に取られなければ、７％を大きく下回る可能性もある。

○ＳＡＲＳの影響は、中国の魅力や政府の危機対応力をすれば、2004年まで引きずることは考えにくい。ただし、情報開示が不十分であるという不信感が、投資を急速に冷え込ませるリスクはある。こうした不信感を除くことが急務である。

ＳＡＲＳの中国経済への影響

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