EUにおける化石燃料の「脱ロシア化」の進捗状況~戦争の長期化で不可逆的な流れに

2023/02/08 土田 陽介
調査レポート
海外マクロ経済
金融
変化を捉える【経済】
  • ロシアによるウクライナ侵攻を批判する欧州連合(EU)は、2022年3月の首脳会議で、ロシア産の化石燃料(石炭、石油、天然ガス)の利用を段階的に取り止める方針(脱ロシア化)を決定した。ではEUはこの一年間で、化石燃料の「脱ロシア化」をどれくらい進めることができたのであろうか。
  • 石炭に関しては、もともとEU域内での生産比率(≒自給率)が高いため、ロシア産石炭の排除は比較的容易と考えられた。実際に2022年8月よりロシア産石炭に対する禁輸措置(同4月の対ロ制裁第5弾パッケージで決定)は発効したが、大きな混乱は生じていない模様である。
  • 原油に関しては、EUは禁輸措置の発効前より原油の脱ロシア化に着手しており、それが一定の成果を果たしたと評価される。他方で石油製品についても、統計上は金融措置の発効前より脱ロシア化が進捗していることが確認されるが、瀬取り行為などの実態を考慮すれば、石油製品の脱ロシア化の動きは統計の動きよりも限定的にとどまっていると考えられる。
  • 天然ガスに関しては、ロシアによる供給削減を受けて脱ロシア化が強制的に進んだ側面が強い。とはいえEUが、天然ガス自体の消費の節約に取り組むとともに、ロシア以外からの天然ガスの調達を進めたことも、ガス需給全体の緩和につながり、脱ロシア化を促したと評価される。
  • 今後もEUは官民を挙げて化石燃料の脱ロシア化を進めていくだろう。そのテンポは緩やかであり、また順調に進むか定かではないが、その一方で不可逆的な流れになりつつあると考えられる。

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