○景気の現状

2004年1～3月期の実質ＧＤＰ成長率は前期比＋1.4％（年率＋5.6％）と8四半期連続でプラスとなった。ＧＤＰデフレ－タ－は前年同期比－2.6％とマイナスが続いているが、名目成長率は前期比＋0.8％と４四半期連続してプラスとなった。世界景気の拡大を背景にアジア向けを中心に輸出の増加が続き、企業収益の改善を受けて設備投資も順調に伸びている。また、雇用・所得環境の拡大ペースは緩やかなものの、消費者マインドの改善もあって個人消費が堅調である。一方、公共投資の減少幅が拡大したため、公需は6四半期連続で前期比マイナスとなったが、日本経済全体でみると民需主導の回復が続いている。

2003年度では、実質ＧＤＰ成長率は前年比＋3.2％となり、ＩＴブーム時の2000年度の同＋3.0％を上回り、96年度の同＋3.6％以来の高さとなった。名目成長率も同＋0.7％と3年ぶりにプラスに転じた。

○見通しのポイント

外需、設備投資、個人消費と幅を広げながら景気は順調に回復しているように見える。足元までの回復は予想以上であり、2004年度の成長率見通しを前回見通し（2月）から上方修正するが、年度後半に景気が減速するというシナリオは継続する。今回の経済見通しのポイントは、（1）世界景気の回復と輸出の増加、（2）企業収益の回復と設備投資の拡大、（3）個人部門への回復の広がり、（4）デフレ終了の可能性の4点である。

○2004年度の経済見通し～3年連続のプラス成長だが、年度後半から調整局面

2004年度は、実質で3年連続、名目で2年連続のプラス成長を見込んでいるが、年度後半からは景気の調整色が強まると想定している。

2004年度後半になると米国や中国などで景気減速が予想され、日本からの輸出が減少し、生産、企業収益の下押し要因となる。このため、設備投資も年度後半になると減少してくる。
個人消費は底堅さを維持しよう。雇用・所得環境の改善が緩やかであるため、高い伸びを維持することは難しいが、消費者マインドは改善しており、実質ベースでは緩やかな増加基調が続こう。
公共投資は減少傾向が続くが、政府消費は医療費や介護費の増加を背景に増加基調が続く。
国内企業物価は上昇を続けるが、原油など一次産品価格の下落や年度後半の景気減速を受け、年度末に向けて低下に転じる。消費者物価は一時的に前年比プラスとなる局面もあるが基調は横這い。

○2005年度の経済見通し～年度後半には持ち直しへ

2005年度は、年度前半は景気調整局面が続くが、年度後半には持ち直してくるため、実質ＧＤＰ成長率は４年連続のプラス成長を見込む。ただし、名目では3年ぶりのマイナス成長となる。世界景気が年度後半には持ち直し、輸出が拡大してくる。これが、生産や企業収益の回復を伴って、設備投資を増加させる。個人消費は雇用・所得環境の悪化を背景に増加の勢いがやや弱まり、公共投資は減少幅が縮小してくる。物価は、2004年度後半からの景気減速によって物価低下圧力が増してくるため、小幅ながら低下が予想される。ただし、年度後半になると景気が持ち直すため下落幅が縮小してくる。

2004/2005年度経済見通し（2004年5月）

お問い合わせはこちら

テーマ・タグから見つける

テーマ

タグ