○景気の現状

景気は減速している。2004年7～9月期の実質GDP成長率はこれまで回復をけん引してきた輸出と設備投資が減速し、前期比＋0.1％（年率換算＋0.3％）とほぼ横ばいにとどまった。かろうじて6四半期連続でプラス成長となったが、昨年10～12月期の前期比＋1.9％をピークに成長率が鈍化してきている。

○見通しのポイント

この景気減速は景気後退の始まりなのか、それとも一時的な踊り場であって景気回復が続いているのか。景気の先行きには、次の3つの要素が影響してくる。すなわち(1)循環的な下押し要素(=デジタル需要の減退、世界景気減速)、(2)構造的な押し上げ要素(=企業の財務体質･収益力改善)、(3)潜在的な不安要素(=個人所得の伸び悩み)、である。

○2004／2005年度経済見通し

2004年度後半は景気の調整色が強まってくると予想する。ただ、年度を通してみれば、実質GDP成長率は+2.7%と3年連続のプラス成長、また名目成長率は+0.8%と2年連続のプラス成長が見込まれる。

2005年度は前年度からの景気調整局面が続くが、年度後半には持ち直してくると予想する。景気の波を形作るのは輸出と設備投資である。年度はじめは、輸出と設備投資の減少により、景気は調整局面が続く。しかし、年央以降は輸出の増加が生産活動を回復させ、さらに年度後半には企業収益の回復をともなって、設備投資が増加してくる。2005年度の実質GDP成長率は+0.6%と4年連続のプラス成長を見込むが、名目成長率は－0.8%と3年ぶりのマイナス成長となると予測する。

所得の伸び悩みが続くが、個人消費は予測期間を通して、小幅な拡大を続けるであろう。また、政府消費も増加基調が続く一方、公共投資は減少基調が続く。物価は景気回復と一次産品価格の上昇を受けてデフレ圧力が後退しているが、2005年度には景気減速を受けてマイナス幅がやや拡大する。

2005年度経済見通し（2004年11月）

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