6月9日発表の2025年1～3月期の実質GDP成長率（2次速報値）は、前期比－0.04%（年率換算－0.2%）と1次速報の前期比－0.2%（年率換算－0.7%）から上方修正されたが、マイナス成長から脱するには至らなかった。景気は緩やかに持ち直しているものの、その勢いは徐々に弱まっているとの判断に変更はない。法人企業統計の結果が反映され設備投資が若干下方修正されたほか（前期比＋1.4%から同＋1.1%）、政府最終消費支出も下方修正された一方で、個人消費（同＋0.0%から同＋0.1%）、住宅投資の小幅上方修正に加え、民間在庫投資の前期比寄与度（＋0.3%から＋0.6%）が大きく上方修正されたことで、全体が押し上げられた。

2025年4～6月期は、内需がプラスを維持するうえ、反動で輸入の伸びが鈍化して外需寄与度がプラスに転じると予想され、小幅ながらプラス成長に復帰しよう。米国においても、関税引き上げのマイナスの影響が出るまでに時間がかかる。しかし、各国への一律10%、中国への30%、カナダ、メキシコ、自動車への25%、鉄鋼・アルミ製品への50%の関税引き上げは適用済みであり、米国と各国との関税交渉の如何にかかわらず、内外経済に対するマイナスの影響は夏場以降、徐々に表れると懸念され、7～9月期に再びマイナス成長に陥ると予想する。

7～9月期およびそれ以降の落ち込み幅は、米国と各国との交渉の進展と内容次第で大きく異なるが、ここでは見通しの前提条件として、①相互関税の上乗せ分は90日の停止期間中に、中国を含め主要国との間で交渉が進展し基本的には適用が免除される、②一律10%、自動車、鉄鋼・アルミ製品など個別商品への関税は維持される、とした。トランプ政権としても米国景気悪化や金融市場の混乱を回避するため、最終的にかなりの譲歩をせざるを得ないであろう。このため、関税引き上げのマイナスの影響は7～9月期で一巡し、2025年度後半には景気は回復基調に転じよう。なお、日本の経済対策では消費税減税や大規模な給付金支給は想定していない。

2025年度の実質GDP成長率は前年比＋0.3%と予想する。2025年の春闘での高い賃上げ率や物価安定に合わせて消費者マインドが次第に持ち直し、個人消費の増加基調は維持されよう。また、企業の設備投資意欲の底堅さが維持され、設備投資による景気下支え効果が期待される。このため、内需寄与度は＋0.9%と底堅さを維持できる。これに対し外需寄与度は－0.6%となり、全体の足を引っ張る。四半期の動きでは、7～9月期に前期比マイナスとなった後、年度後半にはプラス成長に転じると考えている。その後も世界経済が持ち直す中でプラス基調は維持され、2026年度の実質GDP成長率は前年比＋0.8%に高まろう。

一方、トランプ大統領の政策による影響は引き続き不確定要素である。米国経済さらには世界経済が悪化し、外需の悪化が個人消費や設備投資といった内需に波及すれば、国内景気に底割れのリスクが出てくる。

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2025／2026年度短期経済見通し（2025年8月）～景気底割れは回避されるも、残る下振れリスク～

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