2023年1~3月期のGDP(2次速報)結果~上方修正されるが主に在庫投資の増加によるものであり、景気判断に変更はない~

2023/06/09 小林 真一郎
GDP統計
GDP
国内マクロ経済

6月8日発表の2023年1~3月期の実質GDP成長率(2次速報)は、前期比+0.7%(年率換算+2.7%)と1次速報の同+0.4%(同+1.6%)から上方修正された。また、マイナス成長だった2022年10~12月期も同-0.0%(同-0.1%)から同+0.1%(同+0.4%)に上方修正されたため、2四半期連続でのプラス成長となった。1~3月期の上方修正は、ほぼ民間在庫投資の修正によるもので、景気は緩やかに持ち直しているとの判断を修正するほどの内容ではない。

需要項目別に1次速報からの修正状況をみていくと、家計関連では、実質個人消費は前期比+0.6%から同+0.5%に下方修正された。個人消費のうちサービスの支出は、1次速報の同+0.8%から同+0.7%に下方修正されたが、それでも新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いたことで、宿泊・飲食サービス、旅客輸送、レジャーといった対面型サービスへの需要の持ち直しが続き、堅調な伸びとなった。また、生産制約が緩和したことで自動車の販売が増加したことなどから、耐久財は同+5.4%(同+5.9%を下方修正)と大きく増加した。一方、半耐久財(被服・身の回り品など)が同-3.1%(同-2.6%を下方修正)と落ち込んだほか、非耐久財(食料、エネルギー、日用雑貨類など)は同+1.0%(同 +0.7%を上方修正)と増加したものの、3四半期ぶりの増加であり、水準は低い。半耐久財、非耐久財とも価格上昇圧力が強まっており、物価上昇を受けた消費者マインドの悪化を反映して購入を控える動きが広がっている可能性がある。

実質住宅投資は、資材価格の高騰で持家の着工が鈍いことなどから前期比-0.1%と再びマイナスとなった(前期比+0.2%を下方修正)。

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