2023年7~9月期のGDP(2次速報)結果~下方修正され、マイナス幅はさらに拡大。物価高がマイナス成長の主因~

2023/12/12 小林 真一郎
GDP統計
GDP
国内マクロ経済

12月8日発表の2023年7~9月期の実質GDP成長率(2次速報)は、前期比-0.7%(年率換算-2.9%)と1次速報の同-0.5%(同-2.1%)から下方修正された。基本的には、景気が緩やかに回復する中でのスピード調整の動きであり、在庫投資のマイナス寄与度が大きいなど、景気腰折れを示唆するものではない。しかし、内外需ともにマイナスとなるなど内容が弱く、回復力は力強さに欠けることが改めて示された。マイナス成長に陥った主因として、物価高によるマイナスの効果が大きかったことが挙げられる。

需要項目別に1次速報からの修正状況をみていくと、家計関連では、実質個人消費は前期比-0.04%と横ばいに近い伸びから、同-0.2%と明確なマイナスに下方修正された。内訳を見ると、コロナ禍明け後の需要回復を受けて、宿泊・飲食サービス、旅客輸送、レジャーといった対面型サービスへの支出が増加し、サービスは同+0.4%(同+0.2%を上方修正)と6四半期連続で増加した。一方、自動車の販売減などにより耐久財が同-2.9%(-3.3%を上方修正)と減少したほか、半耐久財(被服・身の回り品など)が同-3.2%(-0.5%を下方修正)、非耐久財(食料、エネルギー、日用品など)が同-0.3%(同-0.1%を下方修正)とそれぞれ落ち込んだ。財については、価格上昇圧力が強まっており、消費者マインドの悪化を受けて購入を控える動きが広がっていると考えられる。

実質住宅投資は、資材価格の高騰などの影響で持家や分譲住宅を中心に新設着工件数が緩やかに減少していることを反映して、前期比-0.5%(同-0.1%を下方修正)と5四半期ぶりにマイナスに転じた。

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