大企業の業況判断は改善が続くも、ペースは鈍化
本日発表された日銀短観(2021年9月調査)における大企業の業況判断DI(最近)は、製造業、非製造業とも改善し、コロナ禍の最悪期だった20年6月調査からの回復は続いている。もっとも、自動車や対面型サービス業などで、コロナ禍の影響が局所的に表れ、改善ペースは両者とも鈍化した。
大企業製造業は、前回調査(2021年6月調査)から4ポイント改善の18と5四半期連続で改善したが、すでにコロナ前の水準を回復していることも影響し、改善ペースは鈍化した。業種別にみると、回復が遅れていた素材業種での改善が大きかった一方、世界的な半導体不足や感染が急拡大した東南アジアでの工場閉鎖などによる部品不足を背景に、生産縮小を余儀なくされている自動車での悪化が全体を押し下げた。
大企業非製造業は、前回調査から1ポイント改善の2と、製造業と同様、5四半期連続で改善したものの、改善は小幅にとどまった。資源価格の上昇がプラス材料となる卸売や、貨物輸送が好調な運輸・郵便での改善は大きかった一方、娯楽業、旅行業を含む対個人サービスや小売などで悪化したほか、すでに大幅な「悪い」超となっている宿泊・飲食サービスで改善がみられないなど、コロナ禍の影響が大きい対面型サービス業の苦境が目立つ結果となった。
先行きは製造業で14と4ポイントの悪化を、非製造業では3と1ポイントの改善を見込んでいる。選択肢別社数構成比をみると、製造業、非製造業いずれも「良い」、「悪い」と判断した企業の割合が低下し、「さほど良くない」の割合が上昇した。今後の感染状況、海外景気の先行き、半導体不足の影響など不透明な要因が多く、先行きに対して慎重な企業が増えているとみられる。
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