大企業の業況判断は、製造業、非製造業とも7四半期ぶりに悪化
本日発表された日銀短観(2022年3月調査)における大企業の業況判断DI(最近)は、製造業、非製造業とも7四半期ぶりに悪化した。資源価格の高騰や新型コロナ・オミクロン株の流行などが企業の景況感を押し下げた。
大企業製造業は、前回調査(2021年12月調査)から3ポイント悪化の14となった。資源価格の上昇や円安の進行が、国外からも部資材を調達する化学や紙・パルプなどの業種での景況感悪化につながった。さらに、国内でのオミクロン株流行を背景に再度減産を余儀なくされた自動車での悪化も大きかった。
大企業非製造業は、前回調査から1ポイント悪化の9となった。オミクロン株流行に伴い、1月以降、多くの都道府県でまん延防止等重点措置が実施されたことで、対個人サービスや宿泊・飲食サービスなど対面型サービス業を中心に悪化した。もっとも、回収基準日の3月11日の時点では、感染拡大はすでにピークアウトし、重点措置の全面解除が見込まれていたため、悪化幅は小さかった。
先行きは製造業で9と5ポイントの悪化を見込んでいる。自動車で改善しているが、ウクライナ危機による資源価格の一段の上昇と円安が業績下押し圧力となる石油・石炭製品や鉄鋼、化学など素材業種での悪化が目立つほか、国際情勢の不安定化による海外経済の落ち込みへの懸念から、一般機械類での悪化も大きい。非製造業では7と2ポイントの悪化を見込んでいる。感染第6波のピークアウト、重点措置の解除を反映し、対面型サービス業で改善が見込まれる一方、地政学リスクの顕在化による国際物流の混乱への警戒感から、卸売での大幅な悪化見込みが、非製造業全体を押し下げた。
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