大企業の業況判断は、製造業で悪化、非製造業では改善
本日発表された日銀短観(2022年6月調査)における大企業の業況判断DI(最近)は、製造業で2四半期連続の悪化、非製造業では2四半期ぶりの改善となった。製造業、非製造業とも資源価格高や円安による収益悪化が景況感を押し下げた一方、非製造業では行動制限緩和による需要回復を反映した景況感の押上げ効果が大きかった。
大企業製造業は、前回調査(2022年3月調査)から5ポイント悪化の9となった。資源価格の上昇や円安の進行によるコスト高、上海ロックダウンなどの影響によるグローバルサプライチェーンの混乱を背景に、素材・加工業種問わず多くの業種で景況感の悪化がみられた。
大企業非製造業は、前回調査から4ポイント改善の13となった。製造業と同様、コスト高が収益を圧迫した一方、3月後半のまん延防止等重点措置全面解除を受け、対個人サービスや宿泊・飲食サービスなど対面型サービス業を中心に景況感は改善した。
先行きは製造業で10と1ポイントの改善を見込んでいる。資源価格高や円安によるコスト高の長期化が懸念されるなか、素材業種を中心に悪化したものの、6月の上海ロックダウン解除により、グローバルサプライチェーンの混乱収束が期待され、自動車や電気機械など加工業種で改善が見込まれる。もっとも、ウクライナ危機が続いているほか、中国ではゼロコロナ政策が継続しており、加工業種においても下振れリスクは大きい。非製造業では13と横ばいを見込んでいる。感染状況の落ち着きが続くとの期待が高まる中、対面型サービス業では改善が続くと予想される一方、コスト高が収益を押し下げる懸念がある運輸・郵便などで悪化が見込まれており、非製造業全体では改善が足踏みする見込みである。
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