大企業の業況判断は、製造業で悪化、非製造業では改善
本日発表された日銀短観(2022年9月調査)における大企業の業況判断DI(最近)は、製造業で3四半期連続の悪化、非製造業では2四半期連続の改善となった。製造業、非製造業ともコスト負担の上昇が景況感の重石となり、供給制約の緩和や新型コロナ感染状況の改善といったプラス要素にもかかわらず、全体的に冴えない結果だった。
大企業製造業は、前回調査(6月調査)から1ポイント悪化の8となった。鉄鋼業で大きく改善したが、市況がピークアウトしたことや、円安によるコスト上昇分を販売価格に転嫁しきれなかったことが利益悪化要因となる素材業種を中心に悪化した。一方、供給制約の緩和や円安が追い風となる自動車など輸出業種は改善したものの力強さに欠け、製造業全体の悪化に歯止めをかけるには至らなかった。
大企業非製造業は、前回調査から1ポイント改善の14となり、コロナ禍の最悪期からの回復が続いている。ただし、宿泊・飲食サービスでの回復が小幅だったほか、小売や対個人サービスなど多くの業種でコスト上昇の悪影響がみられ、感染第7波の収束による需要増加のプラス効果は見えにくかった。
先行きは製造業で9と1ポイントの改善を見込んでいる。市況の弱含みと価格転嫁難が続くことへの懸念が強い素材業種を中心に悪化する一方、供給制約緩和が期待される自動車を中心に加工業種では改善を見込んでいる。ただし、米欧利上げに伴う海外経済の減速など下振れリスクも多く、円安による収益押し上げのプラス効果がある中で改善幅は小さい。非製造業では11と3ポイントの悪化を見込んでいる。感染状況が落ち着き、対面型サービス業での改善が続く一方、コスト高が収益を押し下げる懸念がある運輸・郵便などで悪化が大きく、非製造業全体では悪化に転じる見込みである。
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