日銀短観(2022年12月調査)結果

2022/12/14 藤田 隼平
日銀短観
国内マクロ経済

大企業の業況判断は、製造業で悪化、非製造業では改善

本日発表された日銀短観(2022年12月調査)における大企業の業況判断DI(最近)は、製造業では4四半期連続で悪化した一方、非製造業では3四半期連続の改善となった。

大企業製造業は、前回調査(9月調査)から1ポイント悪化の7となった。多くの業種で輸入コストの増加が利益を圧迫する中、特に素材業種では世界経済の減速による市況の悪化もあり、石油・石炭や化学を中心に前回調査から業況感は悪化した。一方、加工業種の業況感は、前回調査から改善した。パソコンやスマホ需要の落ち込みを受けて半導体や電子部品の生産にブレーキが掛かっている電気機械の業況感は悪化したものの、堅調な輸出や国内での設備投資需要の持ち直しに支えられて、はん用機械や業務用機械等の資本財の業況感は堅調を維持したほか、半導体等の部品不足の影響が徐々に緩和へ向かっている自動車の業況感も小幅ながら改善した。

大企業非製造業は、コロナ禍の景気への下押し圧力が弱まる中、前回調査から5ポイント改善の19と、コロナ前に近い水準まで回復した。政府による旅行支援策や新型コロナの水際対策の緩和もあり、宿泊・飲食サービスや、旅行業や娯楽業が含まれる対個人サービスの業況感が大幅に改善した。

先行きは、製造業では1ポイント悪化の6が見込まれている。自動車では半導体等の部品不足による生産制約の緩和が期待される一方、素材業種を中心に多くの業種で世界経済の減速による需要の下振れリスクが意識され、慎重な見方となっている。また、非製造業では8ポイント悪化の11が見込まれている。物価上昇によるコストの増加や需要の減少、人手不足による人件費増加や供給制約等が懸念され、大幅な悪化となっているとみられる。
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