原油価格は、イラク攻撃を巡る思惑や、ゼネストの後遺症によるベネズエラの供給障害などが影響して、3月12日には37.83ドル（ＷＴＩ原油、最期近物）まで高騰した。

その後、イラクの武装解除に向けた米英スペインの外交努力が不調に終わり、対イラク開戦が不可避との見方が強まると、短期終結期待から早々と下落に転じ、19日には29.88ドルと、昨年12月の水準まで急落した。さらに20日に米英が対イラク開戦に踏み切っても価格は下げ止まらず、21日には26.91ドルと、13日以来の7営業日で10ドル以上の下落を記録した。価格急落の主因は、高値で売り抜けるタイミングを探っていた投機筋が、これ以上価格の上昇が期待できないとみて買いポジションを解消したためである。

しかし、足元ではイラク側の抵抗が予想以上に激しく、戦争が長期化するとの見方が強まっていることや、民族紛争激化によるナイジェリアの供給障害などに影響されて、価格は再び上昇している。特に、ナイジェリアは米国にとって第5位の原油輸入国であり、また、ナイジェリア産原油は軽質油でガソリンの生産に適しているため、これからドライブシーズンを迎える米国市場への影響が懸念される。

先行きについては、心理面では戦争長期化懸念が、実需面ではイラクの供給途絶に加えて、ナイジェリアの供給障害が引き続き価格押し上げ要因となる。他方、戦争長期化による米国景気の下振れ懸念や、緊急時の石油備蓄放出の可能性、さらに今後は北半球が不需要期に入ることや、ベネズエラが予想を上回る早さで生産量を回復していることなどが価格上昇を抑える要因となる。

原油レポート No.2 ナイジェリアで民族紛争による供給障害が発生

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