○足元までの価格動向：イラク問題の緊迫を背景に37ドル台まで高騰していた原油価格（ＷＴＩ、期近）は、開戦が不可避との見方が強まると早期終結期待から早々と下落に転じ、開戦を挟む7営業日で10.92ドルの下落を記録した。その後、戦争長期化懸念から30ドル台に再上昇する局面も見られたが、足元では、首都バグダッドに続いて北部の油田地帯であるキルクークが制圧されたことなどから28ドル台に軟化している。

○市場参加者別のポジション：高値で売り抜けるタイミングを探っていた投機筋が買いポジションを解消、売り持ち幅を拡大させている。

○米国在庫の動向：ＯＰＥＣの超過増産やベネズエラの輸出回復で原油の輸入（通関ベース）が増えていることや、冬場の暖房油需要のピークが過ぎたことなどから、米国の民間原油在庫は増加に転じてきている。

○ＯＰＥＣの生産動向：ＯＰＥＣの超過増産やベネズエラの生産量が予想を上回る早さで回復していることなどから、市場は供給超過となっている。また、ナイジェリアは3月下旬から民族紛争により一部油田の操業を停止していたが、4月初めには生産を再開している。

○トピック：ＯＰＥＣは価格急落を受けて、4月24日に緊急総会を開催することを決めた。総会では、現行の生産枠を固定したまま超過増産分を削減するか、あるいは生産枠を引き下げることで減産を決定する見通しである。また、イラクは原油の生産が湾岸戦争前の水準に回復するまではＯＰＥＣに残留するものの、生産枠からは除外してもらうとの見方がある。ただ、新規油田開発に伴い、生産能力を高まってくれば、他の加盟国から、イラクにも生産枠を適用すべきとの議論が起こる可能性がある。

原油レポート No.3 ＯＰＥＣ：緊急総会は減産で調整、戦後のイラク問題が波乱要因となる

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