○足元の価格動向：対イラク開戦後、原油価格（ＷＴＩ、期近）は戦争長期化への懸念から一時30ドル台に上昇したが、米軍が首都バグダッドや北部にある主要油田地帯を制圧すると27ドル台に軟化した。その後、事実上の戦争終結を受けてＯＰＥＣが緊急総会の開催を決めると、減産を見越して価格は30ドル台に再上昇したが、ＯＰＥＣが予想外の生産枠引き上げを決定したことから現在は26ドル台に弱含んでいる。

○市場参加者別のポジション：投機筋が買い持ち高を処分する動きが続いている。ただ、24日に開かれたＯＰＥＣ緊急総会前は、減産を巡る思惑から、投機筋のLong（買い）枚数の減少に歯止めがかかった。

○米国在庫の動向：原油輸入の増加を受けて、米国の民間原油在庫が積み上がってきており、価格を押し下げる要因として働いている。

○ＯＰＥＣの生産動向：3月のＯＰＥＣ（除くイラク）の実際の生産量は2606万b/dとなった。ＯＰＥＣは4月24日の緊急総会で200万b/dの減産を決定する一方、生産枠を2540万b/dに90万b/d引き上げた。また、減産合意量（200万b/d）にはイラク原油の生産停止による減産分が含まれており、イラクを除いたＯＰＥＣの減産合意量はそれより大幅に少ない66万b/dにとどまる。

○トピック：ＯＰＥＣが200万b/dの減産をしても、第2四半期はなお供給過剰の見込みである。さらに、今後はイラク原油の生産が回復してくることに加えて、ＳＡＲＳ（重症急性呼吸器症候群）流行によるアジア景気減速や、海外旅行客の落ち込みに伴うジェット燃料需要の影響も加わって、需給が一段と緩和する可能性がある。ＯＰＥＣは6月の臨時総会で追加減産を迫られる可能性がある。

原油レポート No.4 大幅減産でもなお供給過剰、ＯＰＥＣは追加減産を迫られる可能性がある

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