○足元の価格動向：5月以降上昇傾向にあった原油価格は、ＯＰＥＣが6月11日の臨時総会で生産枠を削減しなかったことから足元では軟化している。しかし、イラクの生産回復が遅れていることや、原油在庫が低水準にあることなどを材料に価格は30ドル台とまだ高い水準にある。

○市場参加者別のポジション：6月上旬はＯＰＥＣの減産に対する期待などから投機筋のポジションが買い超に転じ、価格押し上げ要因となった。

○米国の在庫動向：サウジアラビア等からの原油輸入が大幅に増加している一方で、在庫の取り崩しも増えているようであり、在庫はなお低水準のままである。

○ＯＰＥＣの生産動向：ＯＰＥＣは6月11日の臨時総会で生産枠据え置きを決定した。原油価格がプライスバンドの上限近辺で推移していることに加えて、原油在庫が低水準にあることや、イラクの原油生産の回復ペースが大幅に遅れる見込みであることなどから、減産は見送られた。また、総会では加盟国は生産枠を超えた増産をなくし、6月から適用の新しい生産枠を守ることについても合意した。

○トピック：ＷＴＩ原油は30ドル台の比較的高い水準での推移となっている。しかし、他の油種に目を転じてみると、ＷＴＩ原油に比べて価格上昇ペースが鈍く、ＷＴＩ原油との価格差が拡大している。原油価格は基本的には質や性状、立地によって決まるため、異なる油種間の価格差は大きくは振れないと考えられる。実際に2002年のＷＴＩ原油と北海ブレント原油との価格差は1ドル前後で比較的安定していた。しかし、今年に入ってからＷＴＩ原油と北海ブレント原油との価格差が5ドル前後まで拡大していることから、ＷＴＩ原油の価格上昇には米国内市場に固有の要因が大きく影響していると考えられる。

原油レポート No.8 ＷＴＩ原油の堅調は米国内要因の影響が大きい

お問い合わせはこちら

テーマ・タグから見つける

テーマ

タグ