○足元の価格動向：原油価格（ＷＴＩ期近）はイラクの治安悪化や米国ガソリン価格の上昇などに影響されて32ドル台まで上昇していたが、8月下旬以降は投機筋のポジション解消にともない5ドル以上下落した。ただし、足元では9月24日のＯＰＥＣ総会での予想外の減産決定が材料となってやや強含んでいる。

○市場参加者別のポジション：投機筋が9月に入ってから買い持ちを大きく減らしたことが、価格を下押しする一因となった。ただし、足元ではＯＰＥＣの減産決定を材料に買い持ちを増やしている可能性がある。

○需給動向：原油在庫は2億8千万バレル前後での推移が続いているが、足元で2週連続して増加となるなど前年水準並まで戻してきている。また、堅調な需要動向を反映してガソリン在庫の減少が続いているものの、冬場の需要期に向けて中間留分在庫は前年水準並まで積み上がってきている。

○ＯＰＥＣの生産動向：9月24日のＯＰＥＣ総会では、11月から生産枠を2450万b/dと90万b/d引き下げることで合意した。8月末から価格が急落したことを受けて、イラクの生産回復による先安懸念を打ち消すことを意図したものである。市場では据え置き予想が大勢であっただけに、ＯＰＥＣの減産合意は予想外の結果であった。

○トピック：予想外のＯＰＥＣ減産決定を受けて、足元で原油価格がやや強含んでおり、市場では冬場の需要期に向けて価格が再び上昇に向かうとの見方が出てきている。しかし、ＯＰＥＣの減産幅は90万b/dと小幅であり、イラクの生産回復や非ＯＰＥＣ産油国の増産によって相殺されてしまうため、価格を押し上げる力は弱い。ＩＥＡの見通しをベースに作成した需給バランスは2003年第4四半期に供給過剰に転じ、供給サイドからの価格下押し圧力が働く見込みである。ＯＰＥＣの積極的な減産姿勢は心理面からの価格下支え要因となるものの、需給バランスに基づけば価格がこのまま上昇に向かう可能性は小さいであろう。

原油レポート No.15 ＯＰＥＣ減産による価格上昇は一時的

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